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 ドーン、ドーン、バチバチ!

 春節を1時間後に控えた2011年2月2日の午後11時過ぎ、中国東北部の大連では零下5度を下回る寒さのなか、街中で新年のお祝いムードが最高潮に達していた。ここは日本向けBPO拠点のメッカ。ひっきりなしに打ち上がる花火の勢いと、絶え間なく鳴り響く爆竹の炸裂音は、まるで大連のBPOサービスの隆盛を象徴しているようだ(写真1)。

写真1●日本向けBPOサービスのメッカである中国・大連
写真1●日本向けBPOサービスのメッカである中国・大連
写真左は高層ビルやファストフード店が建ち並ぶ大連駅前、写真右は上野駅を模して建てられたと言われる大連駅。
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表1●日本向けBPOサービスを中国の大連から提供する主なITベンダー
表1●日本向けBPOサービスを中国の大連から提供する主なITベンダー
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 野村総合研究所(NRI)は昨年末にサービス拠点を新設、古参組のIBMやアクセンチュア、BPO専業のインフォデリバ(InfoDeliver)は拠点をさらに拡大、ソフトバンクやパソナテックは異業種から年内にも本格参入――。大連の地で日本向けのBPOサービスを新たに始める、あるいはサービスを拡大・強化する企業が相次いでいる(表1)。

 BPOとは、ユーザー企業が自社でこなしていた経理作業やデータ入力などの間接業務を社外委託することだ。単に業務を任せるのではなく、委託先の企業と協力しながらITを使って業務効率を高めるのが特徴だ。受託企業は人件費が安価な地域にサービス提供拠点を設け人件費を減らす。

成長率はITサービスの約3倍

図1●国内BPOサービス市場の推移
図1●国内BPOサービス市場の推移
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 BPOサービスを提供する各社は、BPOを着実な成長が見込める有力分野と位置付ける。調査会社IDC Japanによれば、日本国内のBPOサービス市場は2009年から2014年まで年平均で4.1%ずつ拡大する見込みだ(図1)。

 これに対して、BPOサービスを含まない、システム開発や保守運用といったITサービス市場全体の成長率は同1.5%にとどまる。BPO市場の成長率は、ITサービス市場の成長率の3倍近い。「ITサービスは頭打ちになりつつある。成長率の高いBPOは新しい事業の柱だ」。日本IBMでBPO事業を統括する名取勝也執行役員グローバル・プロセス・サービス事業部長は断言する。アクセンチュアでBPOビジネスを統括するル・フィリップ パートナーは「BPOに関するセミナーはすぐに一杯になる」と話す。「多くの企業でコスト削減とグローバル化の両方が課題になり、その解決策として経営がBPOを検討する時代になった」と同氏は分析する。

図2●大連の三つの魅力
図2●大連の三つの魅力
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 国内BPO市場の成長と同期して発展を続けるのが中国の大連だ。大連は遼東半島の最南端に位置し、日本向けBPOサービスの提供拠点としては最大規模を誇る。日本語を理解できる人材は30万人以上いるとされ、労働者の給与水準は日本の1~2割だ。1980年代から多くの日本企業が進出しており、「治安や政治、商習慣などの面からも安心して業務を委託できる」(野村証券の田中浩代表執行役専務 業務管理本部管掌・CIO)。

 成田空港から直行便で3時間、日本との時差がマイナス1時間という距離の近さもプラスである。人材とコスト、ビジネス環境の三つをバランス良く満たすのが大連というわけだ(図2)。