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 2001年の発行以来「10年後も通用する基本を身につけよう」のキャッチフレーズのもと読み継がれてきた書籍「なぜ」シリーズ。この先の10年に向けて、何をいま知っておくことが重要なのかを著者の皆さんに語ってもらいます。(編集部)

 携帯電話の前身である自動車電話サービスが日本でスタートしてから既に30年以上たっていますが、実は無線部分を構成する重要な部分の技術はあまり変わっていません。具体的には、(1)電波伝搬特性、(2)アンテナ、(3)無線回路、(4)変調―の4つです。

 電波伝搬特性とは、電波がどのように飛ぶのか、反射したり干渉したりするのかを把握することです。電波特性を予測できないと、携帯電話のシステムを設計できません。電波伝搬特性を表す統計的なモデルが必要ですが、自動車電話用に作られた「奥村伝搬モデル」というモデルが、現在の携帯電話にも利用されています。

 アンテナは電波を目的方向にできるだけ強く飛ばし、干渉する方向は抑えるのが役目です。そのためアンテナには、特定の目的への指向性(アンテナ放射パターン)が求められます。この30年で、端末実装時の放射特性を改善する技術は非常に進歩しましたが、設計の基本は当初に確立していました。

 無線回路では低損失、高能率性が求められます。特に、携帯電話の電波がきちんと届くように、増幅器の回路にはこの特性が重要です。約20年前にサービスが始まった第二世代携帯電話で飛躍的に技術が進歩し、高能率な端末用増幅器や高性能の基地局共通電力増幅器が開発され、今でもそれらの技術が使われています。

 変調は、データ信号を電波に変換する役割を担っている重要技術です。デジタル信号にはBPSK(2相位相変調)、QPSK(4相位相変調)、16QAM(16値直交振幅変調)、OFDM(直交周波数分割多重)などが使われていますが、いずれもアイデアは昔からありました。

 こうした携帯電話の基本となる4つの技術は、これから10年もそれほど大きく変わることはないでしょう。