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 東日本大震災や福島第一原発の事故の影響で、今夏の電力不足は避けられそうもない。政府は各業界に電力カットを要請している。サーバーや通信機器など「止められない」電子機器を抱えるICT業界も、夏に向けて節電に知恵を絞っている。

 使用電力の削減基準について、政府から具体的な方針はまだ出ていない。当初、削減目標は25%とされていたが、最近では15%とする報道もある。いずれにせよ情報システムにとって電力は生命線だ。15%の削減でも難題になる。特にデータセンターでは、消費電力の内訳が一般のオフィスと全く異なる。サマータイムを導入したり、照明を暗くしたりしても“焼け石に水”の効果しか期待できない。

 設備類の節電策が必要になるが、サービスによっては設備を24時間365日間稼働させ続けなければならない。電力カットとサービス維持の両立は困難な課題となる。

やはり難しいデータセンターの電力カット

 特にデータセンターの使用電力削減は難しい(関連記事:データセンターに立ちふさがる「25%電力削減」)。データセンターには様々な企業の“中枢神経”ともいえるシステムが集まっている。絶対に止めるわけにはいかない。平日・休日・昼・夜で負荷を極力平準化しているため、昼間の電力需要のピーク時間だけ使用電力を減らすというわけにもいかない。

 こうした状況を踏まえ、業界団体の日本データセンター協会(JDCC)は経済産業大臣に対して要望書を提出した(平成23年夏期の電力需給に関する要望書)。

 要望事項は大きく五つ。(1)データセンター事業者に対する電力抑制率の緩和、(2)データセンター利用による節電効果の抑制率への算入、(3)停電に備えた規制の緩和、(4)停電に備えた非常用発電機の燃料の優先確保、(5)停電に備えた非常用発電機、設備の保守部品の優先確保---である。使用電力の抑制率を緩和させたうえ、停電時の対策を優先的にしてほしいという趣旨だ。

 データセンターの節電策としては、電力ピーク時に非常用発電機を使うピークカット策が検討対象となったが、JDCCはこのアイデアは実現が難しいとの見解を示している。

 非常用発電機は常用を想定していないため、長時間の運転、短期間の繰り返し運転はメーカー側が保証していないという。例えばガスタービン発電機のエンジンは運転時間1000時間で交換が必要になり、燃料噴射弁は起動50回で洗浄または交換が必要になる。

 データセンターを保有する事業者が皆で非常用発電機を利用すると、部品交換やメンテナンスが多発して、非常用発電機メーカーの対応能力を超えてしまう懸念があるとしている。また、非常用発電機の予備を保有する企業はあまり多くない。