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ニッセンホールディングスのCIO(最高情報責任者)である市場信行・取締役常務執行役員管理統括(写真撮影:吉田竜司)
ニッセンホールディングスのCIO(最高情報責任者)である市場信行・取締役常務執行役員管理統括(写真撮影:吉田竜司)
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 「通販業では短時間でも業務が止まると、すぐに顧客は他の通販会社やウェブサイトなどへと離脱してしまう。それだけにBCP(事業継続計画)には気を配ってきた」

 カタログ通販大手ニッセンホールディングスのCIO(最高情報責任者)に当たる市場(いちば)信行取締役常務執行役員管理統括はこう話す。京都市に本社を置くニッセンでは、1995年の阪神淡路大震災直後にコンピュータシステムが停止した。市場氏は当時の社長から「14時間も業務を止めるとは何事か」と叱責された苦い経験を持つ。その後は災害対策に腐心してきた。

 現在、基幹情報システムを収容する京都のコンピュータセンターは免震構造で震度7の地震にも耐えるという。通信、水道、電気は2系統から引き込み、電気が2系統とも止まっても5日分を自家発電で賄う。周囲からの延焼を防ぐため外側に向けたスプリンクラーまで備える。

 東日本大震災ではこのコンピュータセンターは無傷だったが、仙台市と千葉市の電話受注センター(コールセンター)が被災した。仙台は建物の損傷が激しく、1カ月以上たった4月末時点でも復旧していない。ただ、ニッセンは全国に小規模コールセンターを分散配置しており、仙台の分は近隣のコールセンターに振り替えて受注業務を維持した。「避難訓練をしたばかりのタイミングだったので、従業員全員が無事避難できたのが不幸中の幸いだった」と市場氏は胸をなで下ろしている。

 コンピュータの徹底的な防御と、コールセンターの分散化は奏功したが、市場氏はまだ不十分だと言う。「物流拠点のBCPは今後見直しが必要だ」。ニッセンの物流拠点は福井県と三重県にあり、今回は影響が無かった。ただし、東日本大震災レベルの激しい揺れや、計画停電で設備を動かせなくなる事態が発生したら、業務が止まりかねなかった。そこで海外拠点の活用も含めたリスク分散策を検討している。

 市場氏は自他共に認める「デジタル人間」だ。Android(アンドロイド)やiPhone(アイフォーン)などのスマートフォンやタブレット型端末を幾つも持ち歩く。通勤時はポッドキャストを聴いて情報収集。防水型スマートフォンを使い「風呂でアプリケーションをインストールするのが楽しい」と話す。

 スマートフォンやタブレット型端末は、社内業務の在り方や、カタログ通販業界全体にも大きな影響を及ぼすと見ており、社内でも啓発活動をしている。「片山さん(片山利雄代表取締役社長)にタブレット型端末を持って行って見せたら、『これええなあ、1つ買うといて』と言われた。それから、いつでもどこでも電子メールを確認してもらえるようになった」と喜ぶ。

Profile of CIO
◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・コンタクト頻度の維持と、異なる切り口からのアプローチ

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・利用者側の価値の最大化
・オープン環境の中での正当な差別化

◆普段読んでいる雑誌・新聞
・特定のものはありませんが、スマートフォンなどを持ち歩いて可能な限り情報収集しています

◆最近読んだお薦めの本
・『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』(辻信一監修、光文社)

◆ストレス解消法
・アウトドアライフ(旅行、カヤック)。ときに、デジタルの世界からの逃避