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 「グローバル展開は当社事業の基本。特にこれからは、中国市場をものにする必要がある。すでに中国には工場を10カ所、支社を15カ所設けて製造と販売に乗り出している」。台湾の総合電機メーカー、東元電機などを傘下に持つ東元集団の黄茂雄会長は述べる。

 東元電機は産業用モーターなどの重電機器から家電、携帯電話、プリンター、電子機器/素材、情報システムサービスまで手掛ける。売上高は1100億円と、日本の電機メーカーと比べれば東芝の60分の1程度にすぎない。ただし事業領域は同社に近く、売上高に占める海外比率は55%と、東芝とほぼ肩を並べる。いわば、小さなグローバルカンパニーである。

 「東元電機のビジネス方針は、モノづくり企業としてのスピードを突き詰めること。それを実現するのがグローバルSCM(サプライチェーン管理)システムだ」。こう語るのは、東元電機のCIOを務める謝穎昇 副執行長だ。

 東元電機は昨年、グローバルSCMシステムを全面稼働させた()。これにより、完成品を自社の倉庫に在庫として保管しておく日数を45日から24日にほぼ半減させた。部品の調達先との間で支払い処理を完結させるのにかかる日数は、10日から3日に7割短縮した。販売店などからの在庫の問い合わせには4時間かかっていたが、即座に回答できるようになった。

図●東元電機のグローバル市場に向けたIT戦略
図●東元電機のグローバル市場に向けたIT戦略
世界共通の「コア」システムを基に、地域の実情に合わせたシステム開発を進める。
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コアシステムで全世界をカバー

 グローバルSCMシステムは、会計、電子調達、受発注管理、生産計画というサブシステムからなる。会計については独SAP製ERPパッケージを利用して開発し、それ以外は自社で開発した。

 東元電機はグローバルSCMシステムを、自社のIT戦略における世界共通の「コア」システムと位置付ける。コアシステムの機能や業務プロセスは全世界共通で、国ごとの変更を許さない。新たに海外拠点を設ける際には、コアシステムを活用することで、「システム開発にかかる時間を短縮している」(謝CIO)。

 同社はこのコアシステムを基に、全世界の情報システムを役割別に三つに分けて、地域の実情に合わせたシステム開発を進める。中核をなすコアシステムの外側に追加開発しているのが、「リージョナル」システムだ。これは地域や国ごとに用意するシステムであり、各国の会計制度や法規制に対応した機能を備える。

 さらに詳細な機能を実装したのが「ローカル」システムだ。これは、省や市といった単位で用意するものである。現地の商習慣や消費者の生活スタイルなどに合わせて、販売支援や顧客管理の機能を持たせる。

全社共通のクラウド基盤を構築

 東元電機は昨年、台北市郊外の南港地区にある同社本社のデータセンターに、プライベートクラウド基盤を構築した。これも、拠点新設に伴うシステム開発スピードを速めるための取り組みだ。「コアシステムの利用者情報や業務プロセスは、本社で集中的に管理・運用する。この体制を実現するため、プライベートクラウド基盤を構築した」(謝CIO)。

 同基盤上ではグローバルSCMシステムを稼働させている。このシステムは、台湾や中国など、世界の拠点の従業員が利用する。新たに拠点を設ける際は、このクラウド基盤にアクセスできる環境を整えるだけで、現地にシステムを設置する必要がない。

 プライベートクラウド基盤の構築にあたっては、「仮想化技術でコンピュータ資源を柔軟に拡張できるようにした」(謝CIO)。これにより、システム資源の有効活用と運用業務の一元化を両立する。