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台湾電力の莊光明 副総経理
台湾電力の莊光明 副総経理

台湾電力の事業環境の現状は?

 2010年度は、世界的な金融危機から立ち直り、売上高は前年度比7.9%の成長を達成した。今後2~3年も、少なくとも毎年3%以上の成長を見込んでいる。

 その理由は台湾経済が急成長するという見通しがあるからだ。台湾自体の経済が回復するのに加えて、中国など経済成長の著しい地域へ、電子機器などを輸出する産業などが、台湾の経済成長にも大きく貢献するだろう。特に中国との間では、貿易自由化を目指す経済協力枠組み協定に調印した。今後、さらなる輸出拡大が期待できる。台湾経済が活性化するのに伴い、電力需要も伸びるだろう。

事業の成長を支えるための、IT戦略における課題は?

 カスタマーサービスの向上だ。企業顧客の業種や規模、事業内容に応じて柔軟な料金メニューを開発したり、個人顧客向けのコールセンターを充実させたりするなど、カスタマーサービスの向上は今後の重要な経営課題だ。当社は台湾政府が97%を出資する、台湾唯一の電力会社。だからといって、カスタマーサービス向上を怠るわけにはいかない。

 柔軟なサービスの追加や変更を可能にするため、CRMや顧客データ分析といった情報系システムの再構築を進めている。今年半ばには、新たな料金収受システムを稼働させる予定だ。IBM AIXを使ったUNIXサーバー上で動作する。

 新たな情報系システムは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)に基づいて再構築を進めている。SOAを採用したのは、あるシステムのロジックを変更した場合に、他のシステムに及ぼす影響を最小限にとどめるためだ。SOAを採用することで、将来にわたって情報系システムの柔軟性を確保する。

 電力会社として安定的な電力供給や料金収受を維持するのは、当然の責務だ。発電や送電といった設備管理、顧客の使用量管理や料金管理などの基幹業務を、正確にこなす。こうした業務を動かす基幹系システムも、IBM AIXを使ったUNIXサーバー上で稼働させている。システム構築には独SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージを使っている。

スマートグリッドへの対応は?

 もちろん重要な経営課題の一つだ。現在、今後5年間のスマートグリッドに関する取り組み計画を策定している。この計画の中で、台湾の各家庭に設置した電力メーターを「スマートメーター」に置き換えると同時に、当社内に新しいマネジメントシステムを構築する。地元の電機メーカーなどと協力して、スマートメーターの開発や、既存のメーターとの接続プロトコルの策定などにも取り組む。

 ただし、日本のように業界横断的に様々な企業が共同で実証実験をするといった状況にはなっていない。台湾では依然として、電力会社や太陽光発電システムのメーカーなど、業界単位や企業単位で取り組みを進めているのが実情だ。台湾政府が業界横断的な実証実験などの可能性を探っているところであり、スマートグリッド拡大への環境整備が進むことを期待したい。