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ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 日本の会計基準の策定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)は2011年4月28日、「単体財務諸表に関する検討会議」の報告書を公表した。IFRS(国際会計基準)のコンバージェンス(収斂)やアドプション(適用)を検討するにあたり、金融庁はいわゆる「連結先行」の考え方を打ち出している。その際に、単体(個別)財務諸表についてはどう考えるべきかを議論するのが、同会議の目的である。

 会議は2010年10月4日に第1回を開催し、その後計6回開催した。報告書はこれらの会議での議論をまとめたものだ。今回と次回で、筆者なりの問題意識に基づいて報告書の内容を整理してみたい。太字部分が報告書の内容(筆者が一部修正)、その下が筆者の感想または意見である。

 議論の詳細が把握できていないので筆者の理解が不十分な点もあるだろうが、第一印象として、本質的な議論が先送りされ、収束へ向けて物事が進んでいないと感じる。連結財務諸表と単体財務諸表の役割や位置付けに関する根本的な議論よりも、開発費、のれん、退職給付、包括利益といった基準の個別財務諸表への適用についての議論に終始しているようにも見受けられる。

検討会議の趣旨

 会議の目的として、以下のように説明している。

今後、会計基準設定主体の独立性を確保しつつ、基準策定機能の強化およびそのための産業界を含む各ステークホルダーによるバックアップ強化のための方策を検討する

 IFRSをアドプションをしても、ASBJは日本の会計基準の設定主体として生き残るということを宣言したいのであろう。

単体財務諸表のコンバージェンスを当面どのように取り扱うべきかについて、産業界を中心としたハイレバルな意見を聴取することとし、個々の会計基準ごとに、関係者の意見を聴取検討の上、対応の方向性について関係者の考え方を集約することとしたい。…今後、検討会議の意見を十分に斟酌し最終判断をする

 単体財務諸表をどう位置付けるかは、ASBJに委ねられている。税法(国税庁)、会社法(法務省)との調整も、金融庁の下部機関であるASBJが中心になって進めるということであろう。この部分は企業側として最も注目される点である。米SEC(証券取引委員会)は、この辺りをワークプランプロジェクトとして大々的に取り組んでいると思われる(関連記事:SEC中間報告に見るIFRSに対する米国の姿勢)。