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 東日本大震災の発生直後から、ITベンダー各社が自社サービスや製品を無償で提供し始めた。対象は被災地域だけにとどまらず、交通機関が混乱し、計画停電が実施された首都圏にも広がった。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に関連して、ITベンダー各社が自社のサービスや製品を無償提供する動きが相次いだ(表1)。最初に動いたのは、仮想マシンを貸し出すクラウドサービス「IaaS」(Infrastructure as a Service)の提供ベンダーだ。

表1 東日本大震災で無償提供された主なサービス/製品
表1 東日本大震災で無償提供された主なサービス/製品
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 震災直後、被災した地域の自治体や団体、企業が運営するWebサイトや、震災情報を提供するWebサイトなどにアクセスが集中した。これによってWebサイトの負荷が高まり、アクセスしてもなかなか閲覧できない状況が続いた。

 こうした状況を解消する手段として、日本IBMや日本マイクロソフトなどが自社のクラウドサービスを無償で提供し始めた。仮想マシンを使ってミラーサイトやプロキシサーバーを構築すれば、集中するアクセスを分散したり、Webサーバーの負荷を軽減したりできるからだ。

 広域にわたって甚大な被害を受けたことが明らかになると、無償提供のサービスはアプリケーションにも広がった。セールスフォース・ドットコムやマイクロソフト、グーグル、富士通などがプロジェクト管理、グループウエアなどの「SaaS」(Software as a Service)を提供し始めたのである。被災地域で救済/復旧活動する自治体や団体を支援するためだ。

 被災地域だけでなく、首都圏の企業も無償提供の対象になった。首都圏では震災直後、ほぼすべての交通機関がストップした。その後も大きな余震が断続的に発生。3月14日以降は東京電力による計画停電が実施された影響から、交通機関は大混乱となった。社員の安全確保を優先し、社員を自宅待機させる企業が相次いだ。

 こうした動きを受けて、首都圏の企業向けに在宅勤務を支援するサービスが無償提供され始めたのである。計画停電の始まった3月14日には早くも、サイボウズやソフトイーサ、ブイキューブなどが、社内LANへのリモート接続サービス、Web会議システムなどを提供し始めた。

 編集部が調べたところ、3月25日時点で約60社・団体が自社のサービスや製品を無償で提供した。そのほとんどはIaaSやSaaSといったクラウド関連が占めている。ソフトウエアを無償提供したのは9社、ハードウエアの無償提供は2社にとどまった。

 ソフトウエアはWebサイトを通じて配布できるが、インストールや設定はユーザーが実施する。ハードウエアは機材を現地に手配する手間が掛かる。しかもOSのインストールや配線などが必要で、届いてもすぐには使えない。

 クラウドであれば設定済みのコンピュータリソースを即座に提供できる。ソフトウエアはWebブラウザがあればすぐに利用可能だ。今回約60社ものITベンダーが支援の手を差し伸べられたのも、導入までの手間を省けるクラウドがあったからこそといえる。クラウドの持つ機動力の高さが、改めて浮き彫りになった。