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 仮想化技術を利用したサーバー集約やデスクトップ仮想化は、コスト削減やBCP(事業継続計画)対策など、情報システムの課題を解決する手段として一層注目を集めている。だが、仮想化環境を構成する要素の中には、仮想化に適合して進化しているものと、そうでないもの(進化が追いついていないもの)がある。

仮想化向きに進化したサーバーハードウエア

 最も進化が著しいのはサーバーハードウエアだ。CPUのクロック数の向上こそ3GHz程度で足踏みしているものの、並列化の方向に進化の舵を切り、マルチコア化が進められている。プロセッサあたりのCPUコア数は4コア(クアッドコア)が当たり前で、6コア(ヘクサコア)や8コア(オクタコア)、さらには12コアを搭載したプロセッサまで登場している。これらは仮想化によるリソース分割に適したものとなっている。

 メモリーについても、モジュールあたりのメモリー容量が4GBから8GBが主流となりつつあり、大容量メモリーの搭載が可能となっている。これらの進化はいずれも、1台の物理ホスト上で大量の仮想マシンを実行したいニーズにマッチしている。

 さらに、ネットワークの高速化も進み始めた。従来の1Gbpsから10Gbpsのイーサネットが普及段階に入り始めた。まだまだ10Gイーサネット対応スイッチの価格は高価であるものの、オンボードのネットワークチップは10Gイーサネットが標準搭載されるようになってきている。

 10Gbpsの広帯域を単なるネットワーク通信だけに使うのではなく、イーサネット上にFibreChannelプロトコルを通すFCoE(FibreChannel over Ethernet)やiSCSIの高速接続など、ストレージ接続のイーサネット統合や高速化にも活用範囲が広がりつつある。仮想化環境で好都合なことは言うまでもない。

進化のスピードが遅めのストレージ

 このようにCPU、メモリー、ネットワークのリソースは仮想化の歩調に合わせて進化しているものの、1カ所だけ、進化のスピードが遅めの部分がある。それがストレージだ。

 ストレージの記憶容量は継続的に増大しているため、この点ではサーバー集約に伴う大容量化のニーズを満たせるようになっている。しかし、性能向上の度合いが低い状態が続いている。CPUやメモリーのリソースを潤沢に用意できるのに、それに見合うストレージリソースがない(あるとしても高価すぎる)状態なのだ。

 具体的には、仮想デスクトップシステムが要求する多数の仮想マシンからの同時アクセスや、データベースが要求する高速な読み書きなどに耐え得る高性能が求められている。当然、仮想化環境でのストレージ選びでは、「処理性能」が最も重視すべきポイントといえるだろう。

 懸念されるのはストレージの処理性能だけではない。仮想マシンで利用するデータが共有ストレージに集約されることから、ストレージが単一障害点になりやすく、耐障害性も求められる。さらにBCPの観点から、ストレージに格納されているデータを遠隔地にあるディザスターリカバリー(DR)サイトに複製するなどの対応も求められている。ストレージの重要性は高まるばかりだ。