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 データセンターでは、大きく分けるとIT機器、空調・冷却関係、配電関係の3つの部分で電力が消費されている。データセンターのエネルギー効率を上げるには、設備側である空調・冷却や配電関係の消費エネルギーをどれだけ下げられるかが重要である。つまりPUE(Power Usage Effectiveness)値の削減だ(図1)。

図1●データセンターのエネルギー効率指標「PUE」の定義
図1●データセンターのエネルギー効率指標「PUE」の定義

 近年、先進的なデータセンターでは、IT機器を適切な温度で運用することを目的とした空調・冷却の効率改善で大きな成果を上げている。しかし、IT機器のフロアを冷やし過ぎているデータセンターもまだ非常に多く見られる。フロアの温度は均一ではなく、ホットスポットと呼ばれる熱だまりを起こさないために、運用面での安全を考えて高めの温度エリアを考慮した温度設定にされているためだ。最も温度が上がる部分を冷やすために全体の冷房を強くすることは非常に効率が悪い。ホットスポットや、フロアの温度分布の不均一性の原因を見つけることが、データセンターで即効性のある電力削減への近道である。

 グリーン・グリッド日本支部が昨年実施したASHRAE2008基準適用調査によると、ラック間・ラック上下部での温度差が、4℃以上あるデータセンターは50%を超えていた。しかし、80%のデータセンターは温度分布の不均一性の詳細を把握しているため、改善対象を絞り込むことが可能だ(図2)。データセンターやコンピュータルームでの温度分布を理解していない場合は、まず、温度計を持って温度分布の測定をしなければ改善は始まらない。

図2●フロアの温度が不均一となる理由(グリーン・グリッド2010年ASHREA2008適用調査より)
図2●フロアの温度が不均一となる理由(グリーン・グリッド2010年ASHREA2008適用調査より)
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アワード最優秀賞に輝いた日立に見るホットスポット改善策

 ここからは、2010年のグリーン・グリッド データセンター・アワードの最優秀賞に輝いた日立製作所の事例を基に、フロアの温度の不均一性、ホットスポットの改善を中心とした空調・冷房最適化手法を見て行こう。

 まずは、使用率の高いIT機器や高密度実装されているラック、他のラックより温度の高いラックなど、ホットスポットが起きる可能性のある部分を特定し、その周辺のエアーフロー状況を把握する。エアーフロー状況、つまり、風量、風向を定量的に測定するには、それなりの機材が必要だが、身の回りにある日用品を用いて現場を歩くことで、おおよその状況をつかむことができる。フロアのエアーフローが“見える化”されていないIT部門の方は、ぜひ確認していただきたい。

 また、熱流体シミュレーション(CDFシミュレーション)を行うことで、現状把握と改善のシミュレーションが可能である。最近はPCで動くCFDシミュレーターも出てきているので、ぜひ導入をお勧めする。もちろん、外部コンサルティングを受けることも可能だ。

 通常、ホットスポットの発生原因は、(1)床下からの風量不足、(2)暖気と冷気の混合、(3)高密度実装(ラックの実装密度の差)、(4)常に負荷の高い処理をしているラック---などが考えられる。日立の事例では、(1)の床下からの風量不足と(2)の暖気と冷気の混合、の2つの原因が特定され、空調機の運転台数を増やさずに温度上昇を抑制するとの方針の下、それぞれの対策が講じられた。