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 35人の著名なコンサルタントや思想家が、どのように「経営の真髄」を学んでいったか、ストーリー仕立てでまとめた一冊だ。掲載されているのは一人ひとりの実体験。学習方法を八つに分類して紹介し、彼らの体験談を後追いしつつ一気に読むことができる。

 本書の編者はリーダーシップ開発の世界的権威である、マーシャル・ゴールドスミス。米GEのジャック・ウェルチ元会長のコーチ役としても有名な人物だ。

 「リーダーシップについての教訓」の章では、「ビジョナリー・カンパニー」シリーズの著者であるジェームズ・C・コリンズなど4人が、実体験の語り部として登場する。コリンズは学習する組織について、こう紹介する。「学ぶことで経済的見返りがあるかどうかを問うことは、呼吸をすることで何か経済的に得るものがあるかを問うことと同じである」。重い言葉だ。

 「リードし、学び、教える」の章では、「7つの習慣」で有名なスティーブン・R・コヴィーが、自らを形作った六つの体験を語る。「人々に学習させるための最良の方法は、彼ら自身に教師になってもらうことである」という原則を学び、その後実践した部分は印象的だ。「人に魚を与えれば一日で食べてしまうが、魚の取り方を教えれば一生食べていける」ということわざや、海軍諸事マニュアルの逸話には、はっとさせられる。

 その後、「他人の行動に自分自身をみつめる」「自己認識を高める」「正しいと思っていたことを忘れる」と章は続く。「1分間マネジャー」で有名な医学博士スペンサー・ジョンソンなど、バラエティーに富んだ著名人が相次いで登場するので、興味を持ったストーリーを拾い読みしてもよいだろう。

 それぞれのストーリーの終わりに、読者に対する質問や学習ポイントが示され、頭の中を整理しながら読み進められるのも特徴だ。本書を読んで、先達の経験に学ぶとともに、自分自身の経験を将来に生かすきっかけになればと思う。そして学習するエグゼクティブが、日本でも多く誕生することを期待したい。

評者:村林 聡
銀行における情報システムの企画・設計・開発に一貫して従事。三和銀行、UFJ銀行を経て、現在は三菱東京UFJ銀行執行役員システム部長を務める。
ストーリーで学ぶ経営の真髄

ストーリーで学ぶ経営の真髄
マーシャル・ゴールドスミス/ビバリー・ケイ/ケン・シェルトン編
和泉 裕子/井上 実訳
徳間書店発行
1680円(税込)