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 第1回~第4回までは、各企業がコールセンターなどで主体的に収集している顧客の声(VOC=Voice of Customer)の分析と活用について解説した。今回からは「Twitter」や「フェイスブック」といったWeb上で飛び交う膨大な個人発信情報について解説したい。Web上の情報も広い意味での顧客の声であり、VOCの一部を構成するものだと捉えている。

ソーシャルメディアにはVOC発見のチャンスがある

 2006年7月に米国からサービスを開始したミニブログサービス、Twitterは、急激なスピードで拡大しており、「つぶやき」と呼ばれる投稿は1日に1億4000万件にも及ぶ(2011年3月現在)。世界中で、政治の話題から、電化製品の評価、今日の夕飯の話題に至るまで、天文学的な数の顧客の声が日々書き込まれている。しかも、その情報は誰もが入手可能である。

 こうしたソーシャルメディアの興隆に伴って、販売促進・顧客満足度(CS)向上・商品開発といった活動を、顧客とダイレクトかつリアルタイムにコミュニケーションを取りながら推進できるようになりつつある。アウトレット商品の情報を配信する米デル(関連記事:デル、ミニブログのTwitterでキャンペーン情報などの配信を開始 )や、「年末おそうじ相談室」のアカウントを2009年から毎年12月に活用しているダスキンの取り組み(関連記事:ツイッター効果で年末の電話相談が過去最多に)はよく知られている。CS向上だけでなく、よくある質問(FAQ)などのナレッジ蓄積にも役立つという。2011年3月にはローソンが、数十万人のTwitterユーザーと共に商品を開発する試みを始めた。

 上記のような取り組みは、Twitterをはじめとする各種ブログや、「フェイスブック」「mixi」といったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、ソーシャルメディア全般で活発化している。これはWeb上で新たな顧客層が形成されたと同時に新たなビジネスチャンスが生まれたことを意味する。

 そこで今回はWebマーケティングの課題と解決策について解説したい。なお本稿ではソーシャルメディアを用いた情報交流を「Webコミュニケーション」と呼び、Webコミュニケーションを活用したマーケティング活動を「Webマーケティング」と称するものとする。

課題は「ゴミ」の分別方法

 Webマーケティングは成果を上げつつあり、一部のマスコミでは、Webコミュニケーションを駆使できないビジネスマンは時代遅れであるとする論調も取り沙汰されている。こうした面だけを見ればWebマーケティングは、華やかであるが、影の部分、いわば大きな落とし穴も存在する。

 その最大の課題が「Webでの顧客の声はどれだけ信頼できるのか」という問題である。今回の大震災ではデマ、風評といった「故意ではないが不正確な情報」がソーシャルメディアを通じて拡散された。また、「意図的なゴミ情報」がスパムブログなどには少なからず存在する。

 こうした状況の下で、本当の顧客の声を把握することは通常は困難である。しかもメディアの性質上、Webコミュニケーションにデマの監視や抑制に向けた権力が介入することは相いれない。

 こうした背景から、現状でのWebマーケティングでは 「情報発信」に活用する事例は数多くあっても、「情報収集・分析」に活用した事例はほとんど報告されていない。すなわちセミナーなどで紹介される事例は、「企業アカウントからどのような情報を発信するか?」「どのようなキャンペーンを打つと効果的なのか?」「どうやって顧客とコミュニケーションを取るか?」といった「プッシュ型」の活動に関するものばかりだ。

 「Web上での顧客の声をどのように把握するか?」といった「プル型」の事例情報が乏しい原因は、分析の難しさにあると筆者らは想定している。現状のキーワード主体のテキスト分析手法がプル型の分析ニーズに対応できていないのである。

 Web上にあるテキスト情報は、顧客の生の声であるばかりでなく、顧客同士のコミュニケーション状況や、情報伝播の様子など、従来は把握できなかった顧客の情報を含む「宝の山」である。

 しかし、それらの宝は「ゴミの山」の奥深くに眠っている。言うまでもないことだが、Webの世界は無秩序に生成されたゴミだらけの情報であり、的確な「ゴミ処理」をしない限り、本来の目的である宝には簡単には到達できない。

 以上の視点から、Web上のテキストを分析するうえでの課題は4つある。「顧客の声はゴミまみれ」「顧客の声の主旨がばらばら」「顧客の声はすぐに変化する」「顧客の声の拡散が速い」――だ(図1)。

図1●Web上のテキストを分析する際の4つの課題
図1●Web上のテキストを分析する際の4つの課題
出所:クオリカ

 現状の分析手法ではこれらの課題をクリアできておらず、新たな改革が必要となっている。今回は1つ目の「顧客の声はゴミまみれ」の対策について解説する。