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 IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

ITベンダー社内で若手同士の雑談
ダメな“システム屋”の会話 若手“システム屋”A 「“システム屋”の世界に入ってもう5年になるよな」
若手“システム屋”B 「ほんとだ、早いものだね」
若手A 「この世界、つまり“システム屋”の世界って、他と同じなのかな。それとも、特殊なのかな」
若手B 「というと?」
若手A 「我々が身に付けた常識やスキルって、他と同じなのかなと思って」
若手B 「それは深い質問だね。簡単には答えられないと思うよ」
若手A 「例えば、情報システムの品質レベルってマチマチだと思わないか?同じ『できました』って言う人でも、穴だらけの人と完璧な人がいるよね」
若手B 「確かに。穴だらけでも完璧でも、スケジュール管理上では同じように完成したことになる」
若手A 「我々は要件定義とか設計とか開発とかテストとか言うけど、製造業の人たちとは違う意味で使っているような気がするんだよね」
若手B 「かと言って、一般的なサービス業ともちょっと違うような気がするな」
若手A 「芸術家に近いのかな。いや、それも違うよな」
若手B 「我々“システム屋”って、外の世界から見たらどうなんだろうね」
若手A 「そうそう、それが知りたくて」
若手B 「他からどう見られようと構わない、って割り切るのも手じゃない?」
若手A 「それは良くないよ。日本の政治家じゃあるまいし。我々“システム屋”の仕事は、顧客や上司に信用されてこそ成り立つ仕事だからね」
若手B 「確かにそうだよね。でも古参上司の中に「政治家を見習え」と言う人もいるから、困ったものだよ」

ダメな理由:自分を客観視できない

 前回(第39回)は“システム屋”は政治家報告を見習ってはいけないと指摘しました。もう1つ、最近の政局を見ていて、絶対に“システム屋”が見習ってはいけないと思ったことがあります。

 もし米国で、ブッシュ前大統領がオバマ現大統領を「ペテン師」呼ばわりしたら、米国民や世界中の人々はどのようなな印象を持つでしょうか。ところが最近、日本の前首相が、現首相を「ペテン師」だと断言する出来事がありました。

 この前首相は、カメラとマイクを向けられた時、自分が日本国民あるいは世界に、どのように映るのかを想像できなかったのでしょうか。自分を全く客観視できていなかったと言わざるを得ません。

 政治家の世界ではもちろんのこと、“システム屋”の世界でも、こんなことをしてしまっては顧客や上司から信用を得られるはずがありません。

 政治家であろうと“システム屋”であろうと、誰しも自分自身を客観視することは容易ではありません。組織でも、個人でも同様です。

 企業組織であれば、自社を客観視するために「ベンチマーキング」と称して、自社と同業他社とを比較することがあります。ITベンダーであれば、規模や特長が似通った競合先をベンチマーキング対象として、自社の収益性・成長性、あるいは強み・弱みなどを分析するかもしれません。

 個人であっても、社内の同世代と自分とを比較したり、数年先輩を目標・ロールモデルとして、数年後に追いつけるかどうかを自問自答することもあるでしょう。