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 IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

ITベンダー社内にて、顧客提案前の議論
ダメな“システム屋”の会話 若手“システム屋” 「先輩、ちょっといいですか。住宅販売会社A社のウェブサイト構築の提案案件のことなのですが」
ダメな先輩“システム屋” 「おう、どうした?」
若手 「RFP(提案依頼書)によれば、販売物件を検索できるサイトを構築してほしいということなのですが、ちょっと追加機能を考えてみました」
ダメ 「ほう」
若手 「住宅を買うとなったら、やはり現地現物を見ないと始まらないですよね。だから、住宅購入を検討している顧客に向けて、見学をガイドする機能を持たせたら面白いかと思いまして」
ダメ 「なんか面倒なことを思いついたみたいだな」
若手 「週末に物件を見るとなったら、1件だけじゃなくて、いくつかの物件を見て回るはずです。だったらルートや駐車場、ランチスポットなどの情報を提供して、ガイドすれば便利ですよね」
ダメ 「そんなこと、A社から来たRFPでは要求されていないだろう」
若手「そこがミソなんです。A社から同じRFPを受け取っている競合他社はそういう機能を盛り込まないでしょうから、アピール要因になると思うんです」
ダメ 「それで、追加機能のための予算はどうするんだ」
若手 「そこはA社と相談しましょう」
ダメ 「バカか、そんな予算が出るわけないだろ」
若手 「いや、しかし・・・」
ダメ 「バブル時代じゃないんだから、予算内で抑えるのは鉄則だ。そもそも、どうしてA社からの要求以外のことなんか考える必要があるんだよ」
若手 「住宅販売会社ですから、住宅を買ってくれる顧客を増やしたいはずですよね」
ダメ 「あのなあ、我々は“システム屋”なんだよ。“住宅屋”じゃないんだから。どうやって顧客を増やすかなんて、“住宅屋”に任せておけばいいんだよ」
若手 「しかし、ITを活用しなければできないような機能やアイデアについては、我々の方が詳しいのではないでしょうか」
ダメ 「そのアイデアには、誰も1円も払ってくれないんだよ」
若手 「そんなことはないでしょう」
ダメ 「あるんだよ。万が一『そのアイデアはいいね』なんてことになってみろ。予算内で全部やってくれって言われるだけ。我々は大赤字だ」
若手 「しかし・・・言われた通りのことだけやるのは・・・」
ダメ 「いいか、とにかく最小限の機能を実現すればいいんだよ。できるだけ余計なことは考えないというのが、我々“システム屋”には重要な素養なんだ。お前、何か勘違いしてるんじゃないか」
若手 「・・・(考えないことが素養、か)・・・」

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ダメな理由:顧客の立場で考えない

 前回(第41回)は、“システム屋”はもっと顧客・ユーザー企業の事業成長について考えようと提言しました。ユーザー企業に対して新規の情報システムを提案する時は、まさにそれを考えるチャンスです。

 上のエピソードの中で、ダメな先輩は「余計なことを考えない」ことが“システム屋”にとっての重要な素養だと言っています。しかし、予算が膨れ上がるのを恐れて、余計なことは考えない、余計な機能は提案しない、というのは本末転倒でしょう。

 では“システム屋”にとっての重要な素養とは何でしょうか。