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 外国人向けの日本語学習や、日本人向けの中国語学習といったeラーニングシステムを開発・販売するWEIC。中国では大手の日本語学校や企業が採用し、日本でもキヤノンやソニー、パナソニックなど約200社が同社のサービスを利用中。事業は急成長している。中国で地方政府に直接営業しながら独自の人脈を築き、現地ビジネスの難しさを肌感覚で理解する異色の経営者、WEICの内山社長に今後の戦略や中国市場攻略の勘所などを聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ


WEICの内山雄輝社長
WEICの内山雄輝社長

企業の中国進出コンサルティングを請け負うなど、現地ビジネスに精通している。

 2004年に会社を設立し、翌年から日本企業へ中国語学習のeラーニングサービスを販売し始めたがさっぱり売れなかった。そこでこのノウハウを応用し、中国企業向けに日本語学習のeラーニングサービスを開発。2007年~2009年くらいまで、中国の地方政府へ地道に営業をかけて売り歩いた。その時に地方政府の高官などとの人脈が築けた。日本からのオフショア開発の受託で雇用問題の解決につなげたがっていた中国の地方政府の需要に合致し、サービスもかなり売れた。中国で作った人脈は非常に大きい。

 その時の経験から、日本企業が中国市場を攻略するために必要なことも分かってきた。

それは何か?

 日本企業は言葉では否定しつつも心の片隅で「日本の製品は信頼性が高く機能も豊富で、それを持っていけば中国でも売れる」と妙な自信を思っている。これは心のどこかで中国をバカにしていることであり、この発想は幻想に過ぎない。中国市場を攻めるなら、まずこの認識を改める必要がある。過剰品質が喜ばれる日本市場の延長で考えていては、中国どころか世界でモノを売れない。特に中国では、ニーズも求められる機能も異なる。相手の国の文化も知らずに市場に入っていってもうまくいくわけがない。

 文化を知るには、まず語学を学ぶ必要がある。日本がこれまで自動車や家電を欧米市場で売れたのは、英語であれば学校教育を通じて初期レベルの英語を理解する人が多く、それなりに文化を学んでいた下地があったからだ。だが中国語に関しては、状況が大きく異なる。中国関連ビジネスにかかわる人でも中国語の初級レベルを理解する人はほとんどおらず、この状態のまま中国市場へ進出しようとしている。語学を通じて文化も学ばずに市場の分析はできない。中国でモノやサービスを売りたいなら、まずは中国語の学習から始めるべきだ。

 韓国のサムスン電子はこれを実践した。中国をはじめとした新興国に人を送り込み語学を学ばせて、現地の文化を理解させた。そこから現地で必要な機能や値ごろ感をを学びマーケティングを徹底。現地で売れるものを作りだした。日本企業は、単に日本を含めた先進国向けの製品の廉価版であれば新興国で売れると思っているようだが、それは間違いだ。中国人の感性に合わせるには、機能レベルの現地化だけではなく、デザインなども含めた綿密な現地向けマーケティングが重要だ。

WEICも参加すメード・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS)のメンバーなど、国産のソフト会社が中国市場へ相次いで進出している。

 「まず中国のことを知る努力をしないと、日本で実績があっても現地で国産ソフトは売れない」とMIJSでも提言している。中国での国産ソフト販売はクラウドコンピューティングがポイントになる。中国政府はクラウドに注目していて、日本からのオフショア開発の受託に加えて、クラウドを国策として力を入れて雇用を生み出そうと躍起だ。多くの投資が、データセンターなどクラウド関連に向かい、その上で動かすソフトを求めるようになる。そこへ日本のソフトを採用してもらうように売り込んでいく方法は一つの策だ。

 実際に、MIJSはチャイナテレコムと提携し、我が社を含めMIJSの4社のソフトを、成都のデータセンターを使いクラウドで提供する契約にこぎつけた。この提携も、中国で培った人脈が生きた。

今後の事業展開の見通しは?

 世界での語学教育は、eラーニングと対面レッスンを組み合わせたハイブリッド型が主流。効率的で低コストだからだ。一方で、中国と日本は、依然として教室を使った対面型が主流。非効率で高コストだ。語学の習得を早める独自のノウハウを詰め込んだ我が社のeラーニングシステムと対面レッスンを組み合わせたハイブリッド型の語学教育サービスを普及させる土壌がある。

 中国では、大手の日本語学校10~20社にOEM(相手先ブランドによる供給)で弊社サービスを提供している。OEM先は今後も増やす。日本のシステム会社からオフショア開発を請け負う中国企業でも日本語教育のニーズは高い。中国での有料会員は約3万ユーザーいるが、まだ大きく伸ばせる。

 日本では実績を作るために、まず企業向けにサービスを販売してきた。既に大手企業200社程度に採用されたので、今後は一般消費者向けのサービス展開を強化したい。2012年には、一般消費者のユーザーが企業向けのユーザー数を超えるだろう。2011年12月期は約5億円の売上高の見込みだが、これを2012年12月期は10億円に引き上げる。

 今後は、語学教育サービスだけでなく、中国展開を加速させたい企業向けのコンサルティング事業も強化したい。