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 サーバー環境の停電対策として誰もがすぐに思い付くのは、UPSや自家発電装置を導入すること。最近では比較的小規模な自家発電装置なら、それほどコストをかけずに導入できる。ただ、補助電源は継続利用できる時間に限りがある。代案として浮かぶのが、データセンターを活用し、ネットワーク越しにシステムを利用する方法である。

 被災地の航空衛星画像の解析写真を提供するなど、本業で震災復興にかかわっている国際航業ホールディングスは、「情報が事業の根幹である我が社にとって、ITインフラの安定稼働は生命線」と考え、東京電力管外での基幹システム再構築に取り組んでいる。

図1●国際航業は自家発電システム活用の事業継続計画を見直し
図1●国際航業は自家発電システム活用の事業継続計画を見直し
サーバー設置拠点の発電機を使って計画停電時に基幹業務を継続できたが、より安全性の高いデータセンターへの移設計画を進める。
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 同社の現行の基幹業務系のサーバー群は、東京都府中市の拠点で運用している(図1)。震災直後の計画停電では、この拠点が対象エリアに入っていた。ただ同社では、2006年8月に起こったクレーン船による高圧電線の断線事故を踏まえて、自家発電装置を設置していた。計画停電は計3回、それぞれ2時間強に及んだが、この自家発電装置を起動させてサーバーと空調システムへの電力供給を確保した。

 計算外だったのは、交通インフラなどへのダメージ。被災地への燃料供給が優先されるなど、自家発電装置の燃料確保に不安が生じた。「当初から燃費は計算しており、3日目はサーバールームの空調を半分にして、燃費の改善を図った」(藤原誠樹・IT統括室情報センターセンター長)。それでも、1日3時間程度の停電が毎日続くと想定すると、2週間運用すると備蓄しておける燃料を使い切ってしまうことが分かった。

 こうした状況に加え、停電前後にはサーバー動作の確認作業などに負担がかかるという問題もあって、同社は今夏までに基幹システムを東京電力管外のデータセンターに再構築する検討を開始した。「今回の経験を踏まえると、燃料確保の体制、建屋の耐震性能も含めて専門家であるデータセンター事業者に預けることが最善の策」と判断した。現行の自社拠点のサーバー群は、万が一の場合のバックアップシステムとして温存しておく。

単一機能ならサーバー移設パックでカバー

 国際航業は基幹系のサーバー群を丸ごと、構成、設定まですべて同じまま、別の拠点に再構築する。「今はコストより、夏までに災害対策を間に合わせることが最優先」(米村貢一取締役管理本部長)という方針に基づいて、設計や機能切り出しといった時間を省いたわけだ。

 ただ、このように大規模な取り組みができるケースは珍しい。多くはコストを抑えながらの対策を迫られる。こうした場面では、短期間かつ比較的低コストでサーバーを移設する手法として、事業者が手がける移設パッケージが使えそうだ。サーバー移設に必要な計画策定、移設作業、監視・保守体制などをパッケージ化したサービスで、インターネットイニシアティブ(IIJ)や日本ヒューレット・パッカード(HP)、日本IBMなどが相次いで始めた(図2)。

図2●ベンダーやクラウド事業者のサーバー移設サービスを使って移設の時間を短縮
図2●ベンダーやクラウド事業者のサーバー移設サービスを使って移設の時間を短縮
節電対応に向けて、効率的にサーバー移設を実施するパッケー ジサービスが増えてきた。移設先の環境や制約が問題にならない用途のサーバーを選べば有効に活用できる。
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