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 フジテレビジョンは「IMC Tokyo 2011」(2011年6月8日~10日開催)において、「FNS情報システムセンター構築プロジェクト」の講演を行った。情報システム局長の和賀井隆氏が、プロジェクトの概要や現状、今後の展望などを報告した。

個別の設備投資体制から転換

 「FNS(Fuji Network System)」を構成するフジテレビおよび系列局が使う情報システムには、FNS加盟局のイントラネットである「FNS情報交換網(ネットコム)」や、編成・営業・放送関連業務に使う「編成営放システム」などがある。

 今後のシステムの方向性を決めるために、「FNS明日のシステム研究会」を立ち上げて2007年から3年間にわたり議論したところ、「各社が個別に設備投資をする体制から、FNS共通のサービスを利用する体制への転換が望ましい」という結論になり、「FNS情報システムセンターを稼働させることにした」という。現在編成営放システムのサーバーは加盟局ごとに設置されている。FNS情報システムセンターの発足後は、センターに設置する標準営放サーバーに集約して、加盟局は通信回線(ネットコム)経由でデータをやり取りする体制に切り替える。

 FNS情報システムセンター立ち上げの狙いは、「ITコスト・IT資産・IT業務負荷の削減」「設備集約・共用」「業務・システムの標準化」「新規事業への柔軟即時対応」などである。スケジュールの目標としては、まず2012年10月から情報システムセンターの機能の一部を使えるようにする。この時点で、「FNN緊急速報(ニュース・天気・地震)」「情報連携(編成営業広報、放送運行)」「素材交換」などを可能とする。「情報共有基盤から放送・速報・コンテンツ流通に対応し、認証・セキュリティーを強化する」という。

 情報システムセンターの運営の委託先となるのが、共同出資会社の「フィンズ」である。フジ・メディア・ホールディングスの子会社であるフジミックと、FNS系列ネットワーク構築運表実績を持つ日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、標準営放システムの構築運用などに精通する西日本コンピュータが出資している。

 加盟局が利用する新たな営放システムである「FNS標準営放システムV2」は、2013年春から加盟局が順次利用できるようにする。このシステムの概要や開発状況については、フィンズのSI部 部長代理である江崎英徳氏が報告した。

カスタマイズ化は承認制

 加盟局がそれぞれ導入している既存の営放システム(FNS標準営放システムV1)は、加盟局の作業がしやすいようにカスタマイズされているケースもある。「系列標準システムと言いながらも個別のものであり、FNSとして求めていた最終の姿ではない」(江崎氏)としている。

 バージョン2では、現在23通り存在するアプリケーションを一本化する。現在、搭載されてはいるが使われていない機能や似たような機能の見直しと統廃合を行い、システムをスリム化する。さらに設備面や放送局の文化に基づく特有のカスタマイズ以外は、原則標準機能に取り込む。

 FNS加盟局は、FNS標準営放システムV2に搭載する機能を決定するため、V2検討委員会を立ち上げた。「編成広報」「営業業務」「放送」などの分野ごとの標準化会議で議論をし、標準機能を決めるスタイルを採用した。各標準化会議で決定した内容は1年掛けて機能仕様書として取りまとめて、6回に分けて提出する。全局でレビューを繰り返して承認をもらう方式を採用している。「現在、3回目の提出を行っている最中」(江崎氏)という。6回目まで実施すると仕様書がすべて完成する。

 カスタマイズについては、最低限必要な機能は認める。ただし、機能の拡散を防ぐために、各標準化委員会による承認制度を導入する。アプリケーションは、標準と各局個別のそれぞれについてソースレベルで管理する。FNS標準営放システムV2の開発状況は、「既にプラットフォーム変更部分の開発に取り掛かっており、機能仕様書の1回目と2回目にも着手している」(江崎氏)という。

 フジテレビの和賀井氏は講演終了後、標準営放システムの標準化についての考えを本誌に述べた。「システムは大分スリム化された」とする一方で、「最大公約数ではなく最小公倍数の考え方でいきたい」として、加盟局の役立つ機能はなるべく反映させる意向を示した。