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 大日本印刷は2010年5月、スーパーやドラッグストアが販売するPB(プライベートブランド)商品の容器や包装紙に、食品メーカーなどの広告を掲載する事業を開始した。両者を仲介する広告代理店のようなビジネスモデルで3年後に売上高10億円を目指している。

 第1弾として食品スーパー、クイーンズ伊勢丹(東京都新宿区)が手がけるPBブランド「Green Q」の牛乳パックの側面に、カルピス(東京都渋谷区)の広告を載せた。カルピスを牛乳で薄めて飲むときのおいしい比率などを知らせる内容だ。

 大日本印刷によると、ほかの小売業3社との契約も近々まとまる見込みだという。新規事業としての滑り出しは順調だ。実は、同社は8年前にもこれと同じ事業を始めたものの、軌道に乗らず2年ほどで撤退している。何がビジネスの成否を分けたのか。

写真●PB商品の普及を機に再び広告ビジネスを立ち上げた事業企画推進室エキスパートの玉井亮一氏。手に持つのは、カルピスの広告が入ったクイーンズ伊勢丹の牛乳パック
写真●PB商品の普及を機に再び広告ビジネスを立ち上げた事業企画推進室エキスパートの玉井亮一氏。手に持つのは、カルピスの広告が入ったクイーンズ伊勢丹の牛乳パック
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 8年前と同様、プロジェクトの発案者となった事業企画推進室エキスパートの玉井亮一氏(写真)は、「消費者の意識をうまくとらえられたことが、成功要因の1つだ」と話す。

 前回は企業への提案に追われ、広告を見る側である消費者の心理を分析する余裕はなかった。車体に広告を載せたバスや、広告主体のフリーペーパーが話題になっていた時期だ。生活空間で接する広告に消費者は敏感になっていた。

 当時は携帯電話や金融機関の広告を食品の包装紙に載せたが、「果たして購買客が本当に求めた情報だったのか」と玉井氏は振り返る。広告はBtoBビジネスではあるが、消費者の反応を探る努力は欠かせない。玉井氏は再びこの事業に挑む際、PB商品のパッケージに広告を載せたとき、最も効果を得られるようにするために、顧客のインサイトを探ることにした。そのために活用したのがペルソナ・マーケティングと呼ばれる手法である。

 ペルソナとは、平均年齢や購買履歴などの定量データと、インタビューなどの定性の情報を基に作り上げる、架空の顧客像である。基本的な属性から性格、価値観、生活パターンまでを「ペルソナシート」と呼ばれる数枚の紙にまとめる。主要な顧客層を1人の人物で表現するのが特徴だ。

 数百人、時には数千人の情報が集約されているので、マーケティング資料として商品開発や販売促進の現場で活躍する。ペルソナ作成に当たっては、コンサルティング会社、ワールドカフェ(東京都新宿区)の協力を得た。

顧客像を関係者間で共有

 まず、クイーンズ伊勢丹の店頭でPB商品を購入した買い物客30人に対してアンケートを実施。そのうち10人に1~2時間のデプスインタビュー(1対1で時間をかけて行う面接調査法)に協力してもらった。

 さらにネット上で3000人に対してPB商品に対する意識調査も行った。こうして収集した情報から「PB商品パッケージの広告情報を利用する消費者」のペルソナを完成させた()。