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 東日本大震災の発生以来、東日本を中心に、社会全体が節電を迫られている。照明を間引いたり、エレベーターやエスカレーターを止めたりするなど、至る所にその影響は出ている。

 オフィスではエアコンの設定温度が上がる。クールビズが推奨されているが、あまり暑くては仕事の能率が上がらないだろう。

 こうした状況でパソコンやサーバー、プリンターなどのIT機器の節電方法を理解しておくことがこの夏を乗り切るための重要なポイントになる。一般に節電では、不便だったり不快だったりする“我慢”が織り込まれている。しかし、IT機器の場合は、実際の使い勝手にほとんど影響を与えずに、大幅に節電することができる。節電対策によって、むしろ快適になることすらある。その具体的な方法を解説しよう。

パソコンの節電は効果大

 節電対策の前に、オフィスの中でパソコンなどのIT機器による電力消費の割合がどの程度になっているのかを押さえておこう。

 図1左のグラフは、平均的なオフィスビルにおける夏の午後2時台の電力消費の割合を示したもの。気温が高く、日差しも厳しい時間帯なので空調が48%もの高い割合を示している。

図1●オフィスの電力消費の約1割がパソコンとサーバー
図1●オフィスの電力消費の約1割がパソコンとサーバー
空調や照明などを含めたオフィスビル全体の電力消費の約1割を、パソコンとサーバーが占める。左のグラフは、平均的なオフィスビルに対する資源エネルギー庁の推計。右のグラフはリコーが算出した「オフィスのICT分野のCO2排出量内訳」を基に日経パソコン編集部が推定した。電力消費の内訳は季節や時刻、オフィスのIT機器の状況などによって変動する。
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 さらにIT機器の電力消費の内訳を示したのが図1右のグラフだ。IT機器のうち、パソコンが消費する電力は40%、オフィス全体の中では6.4%という位置付けだ。パソコンとサーバーを合わせるとオフィスの電力消費の10.2%を占める。

図2●パソコンとサーバーでの対策だけで9%の節電も可能
図2●パソコンとサーバーでの対策だけで9%の節電も可能
パソコンとサーバーで節電することで、オフィス全体の消費電力を大幅に削減できる。夏の午後2時台での効果を図1のデータを基に日経パソコンが推定した。オフィス全体の電力削減率は、パソコンやサーバーからの発熱の減少に伴う空調の節電効果を見込んでいる。このため例えば、5年前のデスクトップを最新のノートに更新した場合は、パソコンとディスプレイの電力消費の割合である6.4%(図1右)より高い6.8%の削減が可能になる。利用している電力削減率、消費電力は、電力中央研究所の協力で日本マイクロソフトが測定・算出したデータなどを基にしている(図3、図6も同様)。
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 しかし、条件次第で大幅な節電ができるのがIT機器の強みだ。例えば、現在使っているパソコンが5年前のデスクトップならば最新のノートに置き換えるだけで85%の電力削減が期待できる(図2)。その場合、オフィス全体での電力削減率は6.8%になると見込める。加えて使っているサーバーが5年前のモデルで、これを最新モデルに更新すれば、合わせて9.0%もの電力削減率となる。1人当たりのパソコン使用台数が多い職場や、空調の使用率が小さい地域にある職場の場合は、オフィス全体での電力削減率はさらに大きくなるだろう。

 パソコンを節電すれば、その効果はパソコンだけにとどまらない。節電によってパソコンから発生する熱が減るため、空調の消費電力も減る。図2に示したオフィス全体の電力削減率は、空調への波及効果も加味した値だ。

 パソコンの最新モデルは消費電力が少なくなるように設計されている。図3は2006年から2年ごとの、その年の売れ筋モデルの消費電力を測定したもの。2006年モデルではデスクトップで100Wを超える消費電力だったが、2010年モデルは50W程度と、ほぼ半減した。ノートはもともと消費電力が少ないが、それでも2006年モデルの約半分の電力で2010年モデルは動作する。

図3●新しいパソコンほど消費電力が少ない
図3●新しいパソコンほど消費電力が少ない
表は発売時期の異なるパソコンの消費電力の比較。新しいパソコンほど省エネが進んでいる。また、デスクトップよりもノートの方が消費電力が少ない。左の写真は、新モデルの節電効果を5年前のモデルと比較したNECのデモ。デスクトップもノートも、消費電力が半分以下に減っている。
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 しかも、新しいモデルは処理能力や機能が向上しているので、より快適に使えるようになる。震災以降、パソコンメーカーも新モデルは節電効果が高いことを盛んにアピールしている。