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 東日本大震災では、津波の被害があまりに大きかったこともあり、地震の揺れによる建物の被害についてはあまり知られていない。しかし実際には、震源地から遠く離れた内陸部のオフィスビルが損傷した例も多い。例えば、福島県の中通り地域で郡山市の市役所本庁舎が激しく損壊し、建物への立ち入りが全面禁止になった。

 耐震設備が整った事業者のデータセンターが損傷したケースは東北地方でも無かった。それでも、サーバーをオフィスビルで運用する企業は少なくない。

 直下型地震など、強い揺れによるオフィスビルの被害にどう備えるべきか。サーバーの対策は十分でも、業務に欠かせないPCの耐震対策は見逃されがちだ。今すぐ確認する必要がある。

長周期地振動を警戒せよ

 国は1981年に、建築基準法の耐震基準を大幅に強化した。同年以降に設計した建物が、それ以前の建物に比べて安全なのは間違いない。しかし1981年当時、高層ビルに大きな被害を与える「長周期地震動」への対策は、考慮していなかった。長周期地震動への警戒が足りなかった2003年以前に設計した高層ビルで、特に注意が必要だ。

 長周期地震動は、揺れの周期が2~20秒と長い地震の揺れのことだ。100キロメートルを超える距離でも力が減らずに揺れが伝わる。20階建て相当、高さ60メートル超の超高層ビルや、免震構造の建物に大きな影響を与える。東日本大震災では、震源域から200キロメートル以上離れた東京都心でも、長周期地震動で高層ビルが数分にわたって大きく揺れた。

表●ビルを設計した時期と、当時想定していた長周期地震動の大きさとの関係
表●ビルを設計した時期と、当時想定していた長周期地震動の大きさとの関係
日本建築学会は、日本に1100棟以上ある高さ200メートル以上の高層ビルで、長周期地震動への備えが足りないと警告する。特に危険性が高いのは2003年以前に設計した高層ビルだ
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 日本で長周期地震動に注目が集まるようになったのは、2003年9月に発生した「十勝沖地震」以降のことだ。日本建築学会は2011年3月9日、「日本の高層ビルは長周期地震動への備えが足りず、東海地震などに耐えられない恐れがある」と警告している()。

 国土交通省はちょうど今、高層ビルの長周期地震動対策に関する基準を新設しようとしている。2010年12月から2011年2月まで新基準へのパブリックコメントを集めるなど、検討を続けている。