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日本ヒューレット・パッカード 小川 大地

 2010年7月、ヴイエムウェアはサーバー仮想化ソフトウエア製品の最新版「VMware vSphere 4.1」をリリースした。

 VMware vSphere(以前の名称はVMware Infrastructure)は、ここ数年、年1回のペースでアップデートされており、恒例のものといえる。もちろん、今回のバージョンは4.0から4.1と数字がコンマ1個増えただけなので、それほど大きな変化はないと想像する方も多いだろう。率直に言えばその推測は正しいが、今回のバージョンアップは、既存ユーザーの声を取り入れて数多くの機能を強化している。VMware vSphere4が登場したときのような最新技術のアグレッシブな実装というよりは、「かゆいところへ手が届く」改良が多い。具体的には「運用コストの削減」や運用負荷を減らすための「自動化」が強化の柱だ。

 本セクションではvSphere 4.1で新規追加・強化された機能の概要を紹介し、続くセクションで他製品をしのぐ最新技術や自動化機能の詳細やその活用ノウハウについて解説したい。

ESX Classicは今回で開発終了

 大きなアーキテクチャーの変更はないものの、既存のESXユーザーに大きな影響のあるニュースが同時期に発表されている。「従来型のESX(ESX Classicとも呼ばれる)は今回の4.1をもって開発が終了し、次期バージョンからはESXiしかリリースしない」というものだ(http://blogs.vmware.com/vsphere/2010/07/esx-41-is-the-last-esx-what-do-i-do-now.html)。

 ESXiとは、VMware Infrastructure 3.5時代の2008年からリリースされている次世代型のESXのことである。エントリー版である「ESXi 3.5 StandAlone」「ESXi 4.0 SingleServer」が無償公開されているので、使用経験のある読者も多いかもしれない。ちなみに無償版はvSphere 4.1では「vSphere Hypervisor」と再度名称が変更されている。

 ESX ClassicとESXiの違いは管理OSの有無だ(図1)。ESX Classicには「サービスコンソール」と呼ばれるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)互換の管理OSが一緒にインストールされ、これがハイパーバイザーと密に連携している。これにより、独自作成したシェルスクリプトをサービスコンソール上で動かしたり、RHEL互換の汎用ソフトウエアをインストールしたりすることが行われていた。

図1●ESXとESXiの管理アーキテクチャの違い
図1●ESXとESXiの管理アーキテクチャの違い
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 しかし、汎用OSを採用しているサービスコンソールは、不具合やぜい弱性対策のパッチを随時適用していかなければならない。また、ハイパーバイザー層と密に連携しているため、パッチを適用するとサービスコンソールのOSだけでなく、ESXホスト全体の再起動が必要になる。ESX用にリリースされるパッチの実に半数以上がESXと直接関係がない部分のぜい弱性で、それらパッチを適用するたびに定期的な計画停止やリブートを強いられていた。

 これに対し、ESXiにはサービスコンソールがない。つまり、ESXと直接関係のないRHEL互換部分のパッチ適用に伴う計画停止がなくなり、セキュリティリスクも大幅に削減される。シェルがないと運用の柔軟性が損なわれると思うかもしれないが安心してほしい。PowerShellやPerlベースのコマンドキットでリモートから管理できるほか、サービスコンソールをゲストOSとして実装したVMware Management Assistant(vMA)というアプライアンスが無償で用意されている。vMAはハイパーバイザーから切り離されたゲストOSであるため、再起動を実施してもESXホストや他の仮想マシンに影響は及ぼさない。

 とはいえ、サーバーのヘルスチェックを行ったり、UPS(無停電電源装置)とシャットダウンを連動させたりするためにベンダー製エージェントをサービスコンソール上にインストールしていた方は多いだろう。

 これらについては、ベンダー側の対応が必要になる。UPS大手のAPCの製品などは、連動ツールをvMA上で動作するように対応済みである。サーバー監視ツールに関しても、vSphere 4からはSNMP(Simple Network Management Protocol)に代わる新しいテクノロジー「CIM(Common Information Model)」が実装されている。DellやHewlett-Packardのサーバー監視ツールは既にESXiのCIMプロバイダーへの対応を完了しているので安心だ。

 冒頭で説明したように、ESXが開発終了となり、次期版からESXiに一本化されることは発表された。これからvSphere 4.1を導入する場合はESXiを必ず選択しよう。ESXとESXiではネットワーク設計や運用方法など細かな仕様が異なるため、ESXiを選択しておけば将来はアップグレード作業に手間取らない。

 既にESXを導入しているユーザーについても、ヴイエムウェアはWebサイト上で、ESXiへの移行に関するさまざまな技術情報を提供している。機会をみてESXiへの移行を検討したい(http://www.vmware.com/jp/products/vsphere/esxi-upgrade/)。