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日本ヒューレット・パッカード 前田 裕貴

 サーバー仮想化環境では、効率よく運用管理を行うことが常に課題となる。仮想化を行うと物理サーバーの台数は減少するが、管理対象サーバーの数は減らないため、ハードウエアの保守を除けば運用管理にかかる工数はさほど減少しない。むしろ、仮想化レイヤーを挟むことでシステムは全体として複雑化し、ケアしなくてはいけない部分が増える点が課題となる。

 この点、VMware vSphereでは運用管理のしやすさも強化されている。ここでは、vSphereに実装された、日常の運用管理を円滑に行うためのツール、「VMware vCenterのアラーム機能」「VMware Data Recovery」「ホストプロファイル」「VMware vCenter Update Manager」を紹介していこう。それぞれの概要は以下の通りである。

 vSphereの標準管理ツールであるvCenterのアラーム機能は、エラーなどのイベント発生時にアラームを出す、管理者へ電子メールで内容を通知する─といった処理を行うシステム監視用機能である。アラーム時に仮想マシンやホストの電源オン/オフを自動で行うなど運用自動化のツールとしても利用できる。自動化はそのまま管理工数の削減につながるので、ぜひ使いこなしたい。

 VMware Data Recoveryは、vSphere環境の新しいバックアップソリューションだ。一つの仮想マシンとしてホスト上で稼働する仮想アプライアンスがバックアップサーバーの役割を果たす。またバックアップのためのエージェントをバックアップ対象のゲストOSにインストールする必要がないので、手軽なバックアップ手法として注目できる機能である。

 ホストプロファイルは、1台のESXホストの設定情報を他のホストへ展開する機能である。同じ構成のホストを多数セットアップしたり、既存のVMware環境に新たに同構成のホストを追加したりするときに作業の効率化を図ることができる強力なツールである。

 VMware vCenter Update Managerは、ホストや仮想マシンのアップデートを管理するツールだ。自動でパッチをダウンロードし、スキャン結果をグラフィカルに表示するため、現在のパッチ適用状況が一目で分かる。パッチ適用も簡単に行うことができる上、ホストのアップグレードなども行える。

 それでは各ツールを順番に詳しくみていこう。

運用自動化を進めるアラーム機能が拡充

 まずサーバー監視に役立つアラーム機能の拡充について見ていこう。前述のようにvSphereのvCenterでは、アラーム機能が強化され、細かな設定が行えるようになっている。一般的に「アラーム」と聞くと、なんらかの「障害」を通知することを想像される方も多いと思う。しかし、vCenterのアラーム機能では障害だけではなく、vSphere特有のイベントもアラームトリガーとして設定することができる。

 例えばVMware DRS(Distributed Resource Scheduler)によって仮想マシンが他ホストへ移行された、仮想マシンがシャットダウンされたといったイベントも、アラームとして定義し通知させることが可能だ。サーバー仮想環境の運用が物理環境に比べて複雑になることは前述の通りであるが、その理由の一つとして監視ポイントの増加があげられる。そのため、このような詳細なイベントの監視ができることは非常に大きなメリットになる。

 また、アラームトリガーが多岐にわたることに加えて、そのアラームからキックできるアクションが多数用意されていることもvCenterのアラーム機能の優れている点である。

 アラーム発生時には、電子メールやSNMP(Simple Network Management Protocol)トラップによるアラームの通知はもちろん、あらかじめ定義済みのメニューから基本的なvSphere環境の操作が実行されるように指定しておくことができる。例えばハードウエア障害を検知したら自動的に仮想マシンを別のホストへ移行する、といった設定も可能である。

 つまり、vCenterのアラーム機能を用いれば「Aが起こったらBを実行する」といった自動化を、スクリプトを別途用意しなくとも実現できるということだ。しかも、その「A(アラームトリガー)」も「B(アクション)」もさまざまなメニューが用意されているため、うまく活用すればかなりのレベルの運用自動化を進められるはずだ。設定項目は非常に多岐にわたり、すべてを紹介することはできないが、いくつかの利用例をここで挙げたいと思う。

図1●「アラーム」タブ内の「定義」をクリックすると、定義済みアラームの一覧が確認できる
図1●「アラーム」タブ内の「定義」をクリックすると、定義済みアラームの一覧が確認できる
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 最初にvCenterの「アラーム」タブを見てみよう。左カラムでvCenterを選択し、「アラーム」タブ内の「定義」をクリックすると、現在定義済みのアラームの一覧が確認できる(図1)。デフォルトで最低限必要なアラームについては定義されており、vSphere Clientからイベント発生時にアラームを確認することができる。

 なお、「アラーム」タブは、各仮想マシンやホストにそれぞれあり、個別の設定も可能である。しかしその場合、アラームの監視対象が限定されてしまうため、必要なアラームトリガー(アラームをあげるためのイベントや条件)を見つけられないこともあるかと思われる。慣れるまではすべての監視対象のアラームを設定可能なvCenterもしくは「データセンター」というvCenterの論理単位の「アラーム」タブから設定するのがお勧めだ。