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 情報サービス産業協会(JISA)が2011年3月に公表した調査報告書では各基準ごとに、IT企業の業務に合わせて詳細に解説している。収益認識では「契約の識別」や「アウトソーシングビジネス、クラウドビジネス」「システムコンサルティングサービス」「製品保証」「納入後の仕様変更」など13の項目を設けている()。

表●影響分析の内容の例
表●影響分析の内容の例
基準ごとにIT企業が関係する項目を挙げ、会計処理などに与える影響を記述する
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 「納入後の仕様変更」の場合、日本基準は詳細を定めていないが、IFRS(国際会計基準)では「ケースに応じて収益認識方法について検討する必要がある」と記述。会計処理に与える影響は「無償での仕様変更の対応は、製品保証の一形態と判断される可能性がある」、業務プロセスに与える影響は「将来における無償対応を捕捉するプロセスを構築する必要があると考えられる」などと分析している。

11年度は典型的な事例を収集

 IFRSは現状、改訂が続いていて不透明な部分がある。報告書のなかでIT企業の会計処理に対して「最も影響が大きい」(JISAの田中氏)とする収益認識は、基準自体が確定していない。今回の報告書では、IFRSを策定するIASB(国際会計基準審議会)が公表している公開草案の文書を基に分析した。

 報告書は新日本監査法人が作成した原案を基に、JISAの財務税制部会IFRSガイドライン開発ワーキンググループに参加する14社が作成した。各社の事例を持ち寄ったうえで、JISAの会員企業にヒアリングを実施してIT企業への影響を調べた。

 参加企業の内訳は上場企業が11社、上場企業の子会社が2社、非上場企業が1社である。「監査法人による単なる基準の解説ではなく、実際の企業の声を反映したことが報告書のポイントだ」と田中氏は強調する。

 JISAの会員企業には非上場の企業が多い。報告書はそうした企業にも役立つとする。「非上場企業も上場企業の取引先と付き合う機会が多くある。IFRSの影響を知ることも重要だ」(田中氏)。

 JISAは今回の報告書に続き、2011年度もIFRSの適用に関する文書を公開する計画だ。「2011年度年度は典型的な会計処理の事例を収集し、共有していきたい」と田中氏は話す。