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 IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

食品メーカーの情報システム部門での会話
ダメな“システム屋”の会話 若手“システム屋”A 「今度の新システム計画の目玉、聞いたか?」
若手“システム屋”B 「いや、聞いてないけど」
若手A 「ついに、自動販売機内の“棚”ごとの利益を“見える化”できるようになるんだって」
若手B 「え?それはすごいな」
若手A 「当社の缶入り飲料の販売ルートは、やはり自販機が第一だろ?」
若手B 「ああ、だからこそ自販機チャネルの実態把握が重要なんだ。自販機1台ごとの利益管理は、前回システムの目玉だったよね」
若手A 「それが、今度は棚ごとになったのか。商品の種類ごとの単品管理もできるようになるし」
若手B 「しかしすごいな」
若手A 「利益を正確に把握するためには、間接費の割り振りが課題になるね」
若手B 「そうだよね。地代や光熱費などのコストなら、単純に棚の数で割り算すればいいだけだけど、配送・補充・空き缶回収などのコストの割り当ては難しいんじゃないかな?」
若手A 「ポイントはそこだよな。商品補充の労力とかを考えたら、販売本数に比例したコスト案分比率にするべきだろう」
若手B 「そうか、費目によってコスト案分比率を変えられる仕組みだな、きっと」
若手A 「あ、先輩が来た。ちょっと聞いてみよう。先輩!」
先輩“システム屋” 「ん?」
若手A 「新システム計画の目玉、自販機内の棚ごとの利益管理だという話、聞きましたか?」
先輩 「そういう話はあるけど、目玉ではないだろう」
若手B 「え?だって、自販機で棚ごとに利益管理できるなんて、すごくないですか?コスト計算も複雑でしょうし」
先輩 「はあ?棚ごとの利益管理って、それを知って何か意味あるの」
若手A&B 「う・・・」

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ダメな理由:「できること」と「やるべきこと」は違う

 前回(第45回)は「what if=もしこういうことが起きたらどうなるだろう」と想像力を働かせることを提言しました。これとは一見矛盾するかもしれませんが、企業情報システムに関わる“システム屋”の想像力が事業と無関係の方向に働くのでは意味がありません。それが今回のテーマです。

 ITや情報システムによって、複雑な計算や広範囲からの情報集約など「できること」は飛躍的に増えました。ただし、それが企業にとって「やるべきこと」であるとは限りません。

 上の飲料自動販売機の例で言えば、商品補充の際に棚ごとの補充本数や販売本数データをシステムに入力すれば、商品あるいは棚ごとの売れ行きをつかむことができます。さらに原価データや間接費データとその配賦ルールをシステム上で管理すれば、棚ごとの利益管理も可能になります。そのうえ、各自販機に通信機を設置してデータを集約すれば、どこでいつ何が売れたかという情報をリアルタイムで把握することだって可能です。

 しかし、それ知ってどうしますか?つまり「so what」まで考えているのでしょうか。