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 前編では、非常用発電機のハードウエア面を主に解説した。ただし、発電機の導入や運用には、様々な制約条件がある。そこで今回は関係法令や、運用上の注意点などを説明していく。

発電機導入に関する各種法令/条例

 代表的なものとしては、(1)消防法、(2)騒音規制法、(3)大気汚染防止法などがある。設置前に届出/許可が必要となる。

(1)消防法

 発電設備では、消防法により危険物の数量に規制がある。規制内容は、屋内設置、屋外設置(地上)、屋外設置(屋上)といった場所によって区分されており、発電設備の周囲にある保有空地の広さや燃料の種類などによっても取り扱える量が変わる。

 よって、設置の前には所轄の消防署との十分な協議が必要となる。燃料を貯蔵するタンクや周辺設備に関しても同様の規定があり、確認が必要だ。また、近くに学校や幼稚園がある場合も、規制が異なってくるので、注意が必要である。

(2)騒音規制法

 常用発電機ではその用途・地区に応じて定められた騒音規制値に対応した計画が必要となる。非常用発電機は常用でないため、騒音規制法もしくは公害防止条例などに該当しないケースもあり、自治体によって異なる。所轄の行政に確認をとる必要がある。

(3)大気汚染防止法

 常用発電機を設置する場合、大気汚染防止法や公害防止条例などに対応した排ガス処理が必要となる。

発電設備の構成

 停電時も継続しなければならないデータセンターなどの場合、発電設備は、予備機を含めた複数台で構成することが多い。この発電設備の構成には、(a)並列冗長方式と(b)待機冗長方式がある。

(a)並列冗長方式

 複数台の発電機が電圧・周波数の同期をとりつつ負荷に供給を行う方式である。

 並列冗長方式では、複数の発電機を並列に構成して同時稼働させる。複数の発電機によって複数の負荷系統に供給するので、予備機を待機させる待機冗長方式と比べると、発電能力を有効に使えて全体の設置スペースを抑えられる。ただし同期をとらなければならないので、起動してから電気を送り出すまでに時間がかかる。

 発電機の故障時は故障機を切り離すことで対応する。

(b)待機冗長方式

 各負荷の系統と発電機が1対1で結ばれ、発電機単機ごとに電気を割り当てた系統へ送り出し、予備機は常用機が動いている間は電力を供給しない方式。

 複数機を同期させなければならない並列冗長方式に比べると、単機で電力を送り出すため送り出しが早く、増強も容易である。一方、単機ごとに系統が固定されており、ある系統で電力供給に余裕があっても他系統に融通できないために、設備全体で発電能力を有効に使えない、設置スペースが大きいといった弱点がある。

 発電機の故障時は、故障機を予備機に切り替えることで対応する。

停電時の実際の流れ

 データセンターなどでは地震や火災によって電力会社からの商用電力の供給がストップすると、自動的に電源系統が切り替わり、停電が許されない供給対象(例えばサーバー)に対しては、UPSのバッテリー給電によって電力が供給される。しかし照明設備や空調設備では一般に電力供給が止まる。

 一方、供給ストップと同時に、非常用発電機が始動し指定の電圧と周波数を確立しにかかる。これが確立されると、電源系統のスイッチが自動的に切り替わり、非常用発電機系統から、照明や空調などの設備にも電力供給が再開される。

 サーバーの側から見ると、引き続きUPSから電力供給を受け続けるが、そのUPSは非常用発電機系統からの給電となり、電力供給が再開される。一般にはUPSがバッテリーで給電できる時間は10分程度であり、その間に確実に非常用発電機の電源に切り替えなければならない。

 近年はサーバー室が高密度化しているため、商用電源から非常用発電機電源に切り替わる間(空調が停止している間)の室温上昇にも注意が必要だ。できるだけ短い時間で切り替わることが重要となる。

 また、いったん停止していた電力会社からの給電が回復した場合、切り替え手順は基本的に上記の逆になるが、その際は電力会社へ状況確認などを慎重に行ったうえで戻す必要がある。災害の状況によっては商用電源に戻した直後に再停電が発生する可能性も十分あり得るからだ。発電機の停止のタイミングが悪いと再起動できない場合があることに注意が必要である。