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図3-1●通信インフラで重要な3ポイント
図3-1●通信インフラで重要な3ポイント
ネットワーク技術に関連する、データセンターの重要なポイント三つを解説していく。
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 通信インフラは、(1)「センター内の冗長性」、(2)「アクセス回線の冗長性」、(3)「他センターへの移行性」の三つで耐災害性を高めることができる(図3-1)。

 (1)と(2)は、センター内部とセンター外部の回線や機器の配置の問題である。(3)は、運用しているセンターの外部にシステムを移行することを指す。(3)については次回に解説する。


通信プロトコルによる冗長化

 (1)「センター内の冗長性」は、データセンター事業者がどのようにシステムを設計・構築しているかにかかわる点である。データセンターを選択する際に必ず聞いておくべき事項だ。

 図3-2はセコムトラストシステムズのセキュアデータセンター新館のネットワーク概念図だ。図の中央のスイッチ群がデータセンターの設備であり、上がインターネット側、下がユーザー企業のLANにアクセスするネットワークを示している。

図3-2●データセンター内の冗長構成の概念図
図3-2●データセンター内の冗長構成の概念図
データセンター内では、機器/配線/通信プロトコルによって冗長化されている。ここではセコムトラストシステムズのデータセンターの概念図を示した。
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 データセンターのコアとなるネットワーク部分は何重にも冗長化されている。スイッチやルーターを複数台設置しておき、どれかが災害などで故障しても冗長化プロトコルやルーティングプロトコルを使ってそれらを適切に切り替え、通信を正常に保つ。様々なプロトコルを使うことで、「機器」と「経路」の耐災害性を上げているのである。

 ルーターとレイヤー3スイッチをつなぐネットワークでは、OSPFなどによってダイナミックルーティングが行われている。ルーターなどの故障時に最適な経路を選択するのだ。その下流のレイヤー3スイッチとレイヤー2スイッチの間ではVRRPを使っている。通常時は適切なレイヤー3スイッチへインターネットに向けたフレームが送れるようにしており、そのレイヤー3スイッチが故障した際には別のレイヤー3スイッチを利用する。実際にはネットワーク機器ベンダーが独自に実装しているプロトコルも利用して、経路の冗長化を実現している。ルーターからインターネットへの経路はBGP(EBGPとIBGP)で冗長化されている。インターネットにアクセスするためのプロバイダーも2社と契約している。

 ハウジングしているユーザーのラック内でも冗長化は可能だ。例えばサーバーのNICを冗長化するなどの対策がある。ユーザー企業が利用するラック内の冗長化は、基本的にユーザー企業で対応するか、データセンターのオプションで対応してもらうかになる。

センターまでの経路を冗長化

 センター内が冗長化できていても、ユーザー企業からデータセンターに至る経路が確保できなければ、災害時の安定的な通信はおぼつかない。つまり、(2)「アクセス回線の冗長性」も重要なのである。

 図3-2の下方は、データセンターからユーザー企業のLAN(イントラネット)にアクセスするための回線を示している。この部分はユーザー企業がオプションで選択するケースが多い。具体的にはIP-VPNなどを使い、各ユーザー企業が自社のイントラネットとつなぐ

 このアクセス回線も、冗長化で耐災害性を上げられる。二つ以上アクセス回線を使う場合、一般的には別々の通信事業者のWANサービスを利用する。この方法を「キャリアーダイバーシティー」という。こうすることで、一方の通信事業者のアクセス回線が使えない状態になっても、もう一方の通信事業者の回線で通信を継続できる。

 このアクセス回線のケーブルをどのようにデータセンターのビル内で引き込んでいるかも、耐災害性を左右する。すべてのケーブルをまとめて同じルートから引き込んでしまった場合、そのルートにダメージを受けるだけで通信断になってしまう。そこでNTTコミュニケーションズの東京第5データセンターなどでは、ビル内の三つのルートを使ってケーブルを引き込んでいる。

 なお、通信事業者によるデータセンターであっても、他の通信事業者の回線を利用したキャリアーダイバーシティーは行える。また、特定の通信事業者に偏らないアクセス回線を利用できることを、「キャリアフリー」といったりする。