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 未曾有の東日本大震災は、多くの企業に災害対策の重要性を改めて気づかせた。従業員の自宅待機や出社困難という事態を迎えて、モバイル機器やWeb会議の活用、あるいはテレワークへの注目度が高まっている。また、BCP(事業継続計画)やICTの継続稼働対策では、コスト面に課題を感じ未着手の中小企業が多い状況が明らかになった。

 日経BPコンサルティングが行った「ポスト3.11時代のICT利用意識調査」では、東日本大震災が企業のICT利用に及ぼした影響を、情報システム部門や経営系部門の勤務者に尋ねる形で明らかにした。本連載の最終回に当たる第4回では、大震災が以下の3点に与えた変化を見ていく。(1)業務やコミュニケーションのスタイル、(2)BCPやICT継続稼働への取り組み、(3)ICTベンダーに対するユーザー企業の信頼感、である。

ソーシャルメディア活用は情報システム部門と経営系部門で温度差

 大震災は、災害時のコミュニケーション手段と、どこでも働ける環境の重要性を浮き彫りにした。非常時対策として、「拠点間におけるWeb会議やSkypeなどの利用」が今後進む可能性が高いと答えた回答者は4割強に上っている(図1、「大いにある」+「ややある」の合計)。仮に交通網が遮断されて物理的な移動が困難になっても、インターネット環境さえあればSkypeなどを使って遠隔地の社員と打ち合わせできる。

 スマートフォンなどのモバイル機器は非常時にも有効である。「モバイル機器を利用した業務遂行」は、4割を超える回答者が進展していくと見ており、Web会議と同様に肯定回答が多い。日常的な職場そのものを移す「在宅勤務やテレワーク」の支持率も3割台と高かった。

 Web会議やモバイル機器、テレワークの進展は、情報システム部門だけでなく経営系部門も支持している。企業規模別に回答を見ると、大企業ほど進展の可能性が高いとしている。

 震災時に同じく注目を集めた「TwitterやSNS(Facebookなど)の業務利用」は、Web会議やモバイル機器などに比べるとまだ支持者は少ない。情報システム部門の回答者で、非常時対策として今後利用が進むと答えたのは1割にとどまった。情報システム部門よりも経営系部門のほうが、ソーシャルメディアに対する期待感が強く、情報システム部門の倍の2割に上った。

 システムの具体的な活用法を考える情報システム担当者には、非常時のソーシャルメディア活用はまだ少し遠い課題だが、経営系部門では期待が高まっているようだ。また、非常時対策という枠組みを外せば、マーケティング活動などにおけるソーシャルメディアへの期待感はもっと強いのかもしれない。

図1●非常時対策としての業務やコミュニケーションスタイルの進展可能性
図1●非常時対策としての業務やコミュニケーションスタイルの進展可能性