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 日本向けのオフショア開発拠点、およびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス拠点として最大規模を誇る中国・大連市。多くのITサービス企業が集積するのが「大連ハイテクパーク」である。従業員の賃金上昇、中小都市のITサービス拠点新設といった逆風にどう立ち向かっていくのか。大連ハイテクパークを運営する大連ソフトウエアパーク(DLSP)のガオ・ウェイ総裁に聞いた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経コンピュータ


大連ハイテクパークの現在の状況は?

写真●中国・大連ソフトウエアパーク(DLSP)のガオ・ウェイ総裁
写真●中国・大連ソフトウエアパーク(DLSP)のガオ・ウェイ総裁

 入居企業は550社、就業人口は5万人まで増えている。特に最近は、日本企業が自前の拠点を設けたり、入居企業が自社拠点を拡大したりする動きが強くなっている。最たる例がソフトバンクグループだ。同社はパーク内に1000人規模の要員を確保し、自社グループと他社向けにデータ入力などのBPO業務をこなしている。

 大連ハイテクパークに入居する企業の特徴は、日本企業にオフショア開発やBPOサービスを提供しているところが多い点だ。日本語ができる人材が豊富であるという大連の強みを生かしていることがその背景にある。

 だが、最近の傾向としては、欧米企業向けの仕事をこなす企業が増えている。割合にして、ハイテクパークでこなす仕事量全体の2~3割程度が欧米向けだ。それから中国国内向けの仕事も少しずつ増えている。

日本企業向けの仕事の割合や優先度は相対的に下がっているということか?

 欧米向けの仕事は増えているが、日本向けの仕事も増えている。そのため、仕事量全体に占める日本向けの割合はそれほど変わらない。ハイテクパークの入居企業にとって、日本企業が最重要顧客であることには変わりはない。

中国にはいくつものソフトウエアパークがあるが、その中で大連ハイテクパークが対日サービス拠点として最大規模を誇るまでに拡大することができた理由は?

 特に秘策があったわけではない。「時機」と「戦略」が適切だっただけだと思っている。時機の面では、ほかの都市に先行して1998年にハイテクパークの運営を始めたことが奏功した。

 戦略の面では、当初から日本向けのサービス提供を念頭に、ITサービス企業の誘致に取り組んだ。日本語ができる人材が豊富なことや、日本との距離が近いといった大連の強みを生かすための判断だ。その後は、10年以上にわたって、入居企業と共に地道に事業拡大に取り組んできた。

 これらによって、日本向けITサービス拠点として、ナンバーワンとなることができた。

今、中国では賃金の急激な上昇が問題となっている。大連も例外ではないが、この問題にどう対応する?

 これからの10年は、新たな挑戦が必要になるだろう。日本との人件費の差を生かして単純作業を請け負い収益を上げるビジネスモデルは、相対的な競争力が段々と弱まる可能性がある。今後は、付加価値のある仕事をこなせるようにしていかなければならない。具体的には、新技術の研究開発や高度なソフトウエア開発などである。

 大連はこれまでの実績を生かして、付加価値の高いサービス提供拠点にいち早く転換していくことを目指す。

大連よりも賃金が低い中小都市や中国以外の国の都市がITサービス拠点を新設する動きがあるが、勝算はあるか?

 大連には、10年以上にわたる取り組みの蓄積がある。後発の都市には、そう簡単には真似できないのではないか。

日本企業が大連のITサービス企業の活用に成功するためのポイントは?

 二つある。一つは、スピード感を持って決断することだ。日本企業は意思決定に時間がかかることがある。すぐに決めて取り掛かった方が、いち早く効果を得られる。

 もう一つは、ある程度の規模の仕事を発注することだ。発注量が増えるほど、コスト削減効果は高まる。日本企業は、リスクを恐れて少しずつ発注量を増やしていくことがあるが、それだと得られるコスト効果も限定的だ。