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 総務省 フューチャースクール推進研究会(座長:清水康敬 東京工業大学監事・名誉教授)は2011年7月27日、第1回の会合を開催した。会合では2010年度から引き続き実施するフューチャースクール推進事業における今年度の実施内容や、研究会における活動方針/開催スケジュールについて議論した。

 研究会は、2011年度に行うフューチャースクール推進事業を踏まえて、学校現場におけるICT環境の構築・運用や授業における具体的なICTの活用方法、クラウド・コンピューティング技術の活用方法──などについて検討し、「ガイドライン(手引書)2012(仮称)」を策定することを目的としている。この事業は文部科学省が実施する「学びのイノベーション事業」と連携しながら実施する予定である。両事業の連携・調整を図るために、文部科学省の「学びのイノベーション推進協議会」との合同会議である「ICTを活用した先導的な教育の実証研究に関する協議会」の開催も予定している。

ICT機器を使うネット環境構築などテーマ

 2010年度からの2年目となる今年度は、総務省は主にICT機器を使ったネットワーク環境の構築と、学校現場における情報通信技術面を中心とした課題の抽出・分析など、ハードを対象とした実証実験を行う。文部科学省はコンテンツの開発や授業の進め方といったソフトを対象に実証実験する。2010年度の実証校だった公立小学校10校に加えて、2011年度は中学校8校と特別支援学校2校を加えた計20校で実施予定である。現在追加となる対象校の選定を進めている。

 研究会では今後、8月中にも新規委託先の選定を行い、実証実験を開始する。9月には文部科学省の協議会との合同会議を開催して調整を行う。2012年2月には実証実験の成果を踏まえてガイドライン2012(仮称)の素案と報告書案を作成し、2012年3月に開催予定の文部科学省との2回目の合同会議で、新しいガイドラインを策定する予定である。

 2010年度から実証実験を継続して請け負う2社は、今年度の実証実験の計画案を示した。東日本地域で実証校5校を担当するNTTコミュニケーションズは、今年度の実証実験の主な変更点として、「校内無線LANでクラスを越えたグルーピングができるように改造する」方針である。さらにタブレット型パソコンを持ち帰れるようにし、家庭との連携用途で活用する。

 タブレット型パソコンの持ち帰りは、専用の端末に3G回線通用の通信カードをつけて実施する。ポータルサイトを通じて連絡することを目的として、持ち帰りパソコンによる連絡帳機能やスケジュール管理、掲示板機能の利活用を進める。

 NTT西日本地域で実証校5校を請け負う富士通総研は、2011年度実施計画のポイントとして、無線LANを普通教室外(体育館など)で利用できるように設定を変更する、アプリケーションやデジタル教材の変更/導入、クラウド(協働教育プラットフォーム)を使った関係者間の情報共有強化や情報の一元管理を挙げた。

 昨年度から継続している実証校では、現在授業研究や持ち帰り端末による家庭学習などを実施中である。事業者2社は2012年2月以降、教員や児童を対象としたアンケートを実施し、最終報告書をまとめる予定である。

 委員による議論では、「写真やデータなどの記録はできるだけ多くきちんと保存しておいてほしい」「端末を持ち帰った際に破損する可能性があるが、どうするのか」「現在2名体制の支援員は、将来的に減らすことも考えた取り組みが必要ではないか」「短い隙間時間に学習するニッチラーニングへの対応予定はあるか」──など、実証実験を担当する事業者への要望や質問が相次いだ。事業者はこうした意見のうち、持ち帰り端末の破損に対して「あれこれしてはダメと制限をつけると自然に使えない。実験では思い切って使ってもらうことに主眼を置いている」、ニッチラーニングについて「インタラクティブホワイトボードやサイネージ端末を使って実践したい」などと答えた。

安くできるのかもポイント、と平岡副大臣

 会議の最後に挨拶した総務省の平岡秀夫副大臣は「議論を進めるために現地視察や意見交換などいろいろな機会を設けたい」と述べた。また、現在実証実験校に導入している設備を仮に全国の学校に展開した場合、大まかな見積もりで2兆円かかることを示し「本格導入のためには必要な機能を絞り、いかに安くできるかという視点も必要だ」とコメントした。