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 急増するモバイルトラフィックの対策として、日本の携帯電話事業者は急ピッチでオフロード先である無線LANエリアの拡充を急いでいる(表1)。携帯大手3社は、最終的に現在のスポット数の4~10倍である10万スポット規模に無線LANエリアを広げる考えだ。

表1●公衆無線LANサービスのエリア拡充に力を入れ始めた携帯各社
表1●公衆無線LANサービスのエリア拡充に力を入れ始めた携帯各社
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 ソフトバンクモバイルは、スターバックスなど約60社の店舗と提携して公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」の拡充を急いでいる。現在、エリアは本誌推定で約2万5000カ所と見られるが、今年度中に10万局へと増やす計画を打ち出している。また端末契約者に無線LANルーターを無償配布し、ユーザー宅では携帯網ではなく無線LANから固定網を経由してインターネットを利用できるような取り組みを進めている。

写真1●「au Wi-Fi SPOT」に対応したKDDIのAndroid搭載スマートフォン<br>自動ログイン機能、3Gと無線LANの自動切り替えなどの専用アプリケーションを備える。
写真1●「au Wi-Fi SPOT」に対応したKDDIのAndroid搭載スマートフォン
自動ログイン機能、3Gと無線LANの自動切り替えなどの専用アプリケーションを備える。
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 KDDIも6月末から同社のスマートフォンユーザー専用の公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」を開始した。同社のスマートフォンユーザーは無料で利用できる(写真1)。2012年3月末までに全国で約10万カ所までスポットを広げる計画である。

 NTTドコモは、トラフィックオフロードを、LTE(Long Term Evolution)へのマイグレーション、帯域制御と並ぶトラフィック増大対策の3本柱の一つとする。ドコモの公衆無線LANサービスのスポット数は約6800だが、「今後1年間で約3万くらいに増やしたい。将来的には10万スポットがターゲットになる」(山田隆持社長)と、ドコモも他社と同様の規模のエリア構築を急ぐ。

煩雑な設定の自動化も

 現在の無線LANオフロードは、特定のエリアでは無線LAN経由でパケット通信を利用する形。そのため、基本的にはユーザーが端末上で、公衆無線LANスポットの識別子であるESSID(Extended Service Set IDentifier)やパスワードを設定する必要がある。この設定の煩雑さは、無線LAN利用拡大の障壁になっている。このような課題を解消するサービスが登場してきた。

 例えばau Wi-Fi SPOTでは、端末にインストールしたアプリケーションが自動的にパスワードなどを保存してくれる仕組みを取り入れている。専用アプリケーションをダウンロードし、サインアップする際に、アプリケーションの中に無線LAN用のパスワードなどを仕込む。

 KDDIの江川正コンシューマ事業企画本部Wi-Fi推進室開発グループリーダー課長は、「公衆無線LANへの取り組みは他社よりも後発であるため、差異化のためによりユーザーが使いやすい機構を取り入れた」と話す。このほかau Wi-Fi SPOTでは、電波環境が悪くなってもセッションを引きずる傾向がある無線LANに対し、受信レベルや品質などいくつかのパラメーターを基に、最適なアクセス手段に切り替える機構も取り入れた。こちらはKDDI研究所の技術を利用しているという。

 ソフトバンクモバイルも煩雑な無線LAN設定を自動化するために、iPhoneやiPad向けに設定プロファイルを公開している。ユーザーがダウンロードして、プロファイルを端末にインストールすることで自動的に設定が終わる。