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 携帯電話事業者による無線LAN網への注目の高まりと共に、無線LAN網を携帯網と同様に扱う仕様を標準化する動きも進んでいる。第3世代携帯電話の標準化団体である「3GPP」で議論されている。狙いは、オフロードの手法そのものというよりも、無線LANを使った場合でも携帯事業者ならではのサービスを提供できる仕組みを実現することだ。

 現在、携帯電話事業者が提供している無線LANオフロードの方法は、端末が無線LAN網へとアクセス手段を切り替え、すべてのトラフィックを無線LANへと流す。これは、オフロードの方法として単純で分かりやすく、効果も高い。代わりに、デメリットもある。

 一例が、無線LAN網に切り替えた瞬間から、携帯パケットコア網による制御ができなくなる点だ。「ペアレンタルコントロールなど、事業者に求められるアクセス制御ができなくなる」(日本エリクソンの藤岡雅宣CTO)。また、パケットの種類や利用するアプリケーションによらず一律にオフロードしてしまう点も、改善の余地がある。パケットの種類などによって収容先を変えられれば、サービスレベルを多段階にでき、事業者には収益の機会が増す。

 そんな無線LANを携帯コア網に収容する仕様として、2009年3月に仕様が固まった「3GPP release 8」で規定されたパケットコア網「EPC」を利用する方法がある(図1)。EPC内のゲートウエイ機器「P-GW」でモビリティー管理とIPアドレスの付与を行う。こうすると、無線LANアクセス網に接続した端末をコア網で管理できる。アクセスが携帯網から無線LAN網に切り替わってもセッションが途切れないなど、シームレスな環境を構築できる。

図1●今後は無線LAN網を携帯パケットコア網に収容する方向へと進化も
図1●今後は無線LAN網を携帯パケットコア網に収容する方向へと進化も
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 また無線LANアクセス網を介してインターネットへオフロードするか、携帯パケットコア網へ収容するか経路を分けることも可能になりそうだ。例えばメールはパケットコア網、ストリーミングなど大容量データ転送はインターネットへのオフロードという具合である。エリクソンは、コア網へ収容する場合と直接オフロードする場合とでESSIDを分ける方法を検討する。シスコはゲートウエイの「ePDG」にDPI(Deep Packet Inspection)機能を持たせ、パケットの種類ごとに経路を分ける方法を検討している。