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写真●豆蔵 取締役CTO 羽生田 栄一 氏(撮影:平瀬 拓)
写真●豆蔵 取締役CTO 羽生田 栄一 氏(撮影:平瀬 拓)
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 「クラウドの登場によって、ITエンジニアの進むべき道は大きく二つに分かれる。それが『現場ソムリエ』と『開発ソムリエ』だ」――。2011年9月16日、都内で開かれた「X-over Development Conference 2011(XDev2011)」において、豆蔵の羽生田栄一氏(取締役CTO、写真)はこのように述べ、クラウドコンピューティングがもたらす影響と、それに伴うITエンジニアのキャリア像を展望した。

 講演のタイトルは「クラウドとSOAと開発者~現場ソムリエと開発ソムリエという生き方~」。羽生田氏は冒頭で、東日本大震災の被災地で活躍した「アイデアソン」と「ハッカーソン」を紹介。これら二つの取り組みの役割と、ITエンジニアの将来を重ねてみせた。

 「3.11の震災は我々のマインドセットを大きく変えた。アイデアソンはサービスのアイデアを検討する場、ハッカーソンはそのサービスを作り上げる場である。震災で活躍した両者の役割分担が、クラウド時代のITエンジニアにもそのまま当てはまる」(羽生田氏)。

 羽生田氏はITエンジニアの二つの役割を「現場ソムリエ」と「開発ソムリエ」と名付ける。「システムの利用現場の悩みやニーズを的確に把握し、それを業務課題や業務プロセスとして定義する。それが現場ソムリエだ」(同)。一方で、そのアイデアをITサービスとして素早く提供できる人材も必要になる。それが開発ソムリエ。羽生田氏は「現場ソムリエはまさにアイデアソン、開発ソムリエはハッカーソンに相当する」と持論を展開した。

アジャイル的なアプローチが必須

 現場ソムリエと開発ソムリエは互いが協力してサービスを提供する。ここでのポイントは、少しずつ作って成長させていく「アジャイル」を実践することだと羽生田氏は説明する。「5年後や10年後のプランは現実的に描けない。アジャイル的なアプローチでシステムを成長させていくことが今後求められる」(同)と話す。

 この背景には、クラウドの発展が大きい、と付け加える。「クラウドはさまざまなものを仮想化する。汎用的なサービスは、既にあるクラウドを素早く利用する時代に入った。これはアジャイルにとてもマッチする」(羽生田氏)。

 ITエンジニアに必要なスキルも変わってくるという。現場ソムリエには問題解決技法を使って現場のニーズを整理・分析するスキルが、開発ソムリエにはSOA(サービス指向アーキテクチャー)を駆使し、サービスを素早く構築できるスキルが求められると指摘する。

多くのITエンジニアは現場ソムリエに

 では、ITエンジニアは現場ソムリエと開発ソムリエのどちらを目指すべきなのか。この点について羽生田氏は「開発ソムリエはクラウドサービスを提供する一部のベンダーに在籍するので、わずかな数しか存在できない」と断言する。その上で「ほとんどのITエンジニアは、現場ソムリエを目指すべきだ」と呼びかけた。

 「開発ソムリエはITアーキテクトに近い。高度な技術スキルが必要で、一握りのエンジニアに絞られるだろう。その分、多くの現場では利用部門に果敢に飛び込み、まだ気付かぬニーズを把握して解決する現場ソムリエが活躍するようになる」(羽生田氏)。

 現場ソムリエの活躍の場は上流工程である。ただし「それは決してビジネスコンサルティングではない」(羽生田氏)と注意を促す。羽生田氏は「現場ソムリエは机上で語るのではなく、必ず現場にこだわる。被災地で活躍したアイデアソンがそうであったように、自分の耳と目、そして心でニーズを探り出すことが何より大切だ」とし、講演を締めくくった。