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 2011年9月1日、京都市で興味深い実証実験が始まった。「外国人観光客宿泊施設向け緊急対応コールセンター実証実験」である。外国人観光客が突然の体調不良やトラブルに見舞われた際、日本語ができないことから的確に状況が伝えられない---。そんな状況を想定し、電話を介して通訳サービスを受けられるのが同実証実験の内容だ。こうした試みを裏側で支えているのがIP電話システムである。

外国人観光客が激減

写真1●京都市が観光情報を提供するFaceブックページ「Visit Kyoto」
写真1●京都市が観光情報を提供するFaceブックページ「Visit Kyoto」
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 世界的に知られる観光都市、京都。京都市では外国人観光客向けのFacebookページ写真1)を運用するなど、インターネットを使った海外への情報発信にも積極的だ。2010年には約98万人の外国人観光客が京都市内の宿泊施設を利用した。2009年には鳥インフルエンザの影響などでいったん約80万人にまで減少していたが、再び増加に転じていたのだ。

写真2●京都市産業観光局観光部観光振興課の土居里枝担当係長(中)、同課の児玉英二主任(右)、実証実験を受託したブリックスのコンタクトセンター事業部事業部長の吉川健一執行役員
写真2●京都市産業観光局観光部観光振興課の土居里枝担当係長(中)、同課の児玉英二主任(右)、実証実験を受託したブリックスのコンタクトセンター事業部事業部長の吉川健一執行役員
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 だが、3月11日の東日本大震災と、それに伴って発生した原発事故によって状況は一変。外国人観光客が激減したという。実証実験を担当する京都市産業観光局観光部観光振興課の土居里枝担当係長(写真2中)は状況を次のように説明する。

 「3月の震災発生直後は、政府観光局調べで観光客が(対前年同月比で)約7割減っている。震災前までは前年比で増えていたので、がくっと落ちた。アジアからの観光客は少し回復しているものの、京都に宿泊する観光客は約7割が欧米豪からという特徴があり、まだ本格回復という形ではない」。

 実証実験自体は震災前に企画されたものだ。京都市では元々、外国人観光客に対して安全・安心を提供するには何をすればいいのかという問題意識を持っていた。「『いいところですよ、ぜひ来てください』と言いながら、実際に来て安全で快適に旅を楽しんでもらえているのか、安心して宿泊してもらえているのか。そのためには、言葉の壁が大きいことが調査で分かっていた」(土居氏)。

 そこで、通訳サービスを提供するという企画を2010年に立て、予算要求を開始。2011年3月に京都市議会で予算が承認された。こうした時期に震災が発生した。外国人観光客に対して安全・安心をアピールできるこの実証実験は、観光客回復の呼び水としても大きく期待されることとなったのだ。実験の期間は2011年9月1日から2012年3月31日。検証結果やコストなどを鑑み、その後の継続を判断する。