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 2011年9月8日、木曜日の夜7時――。約80人の学生が、東京・神田のビジネス街のビルの一角に集まった。スマートフォンやパソコン向けサービスの開発キャンプ「ブレークスルーキャンプ 2011 Summer」の週次報告会と懇親会に参加するためだ。

 学生たちの視線の先には、講演を始めたゲストがいる。この日のゲストは、セカイカメラを開発した頓智ドットの井口尊仁社長(写真1)。「世界を目指すサービス」の開発を目指す大学生たちにとって、拡張現実(AR)アプリをいち早く実装し、世界各地のイベントで喝さいを浴びる井口社長はあこがれの存在。学生たちは、報告会後の懇親会も共にした井口社長の掛け声に合わせ「We can change the world!」と叫んで、この日の報告会と懇親会は幕を降ろした。

写真1●「ブレークスルーキャンプ」の報告会で学生を前に熱く語る頓智ドットの井口社長
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現代の“トキワ荘”を目指す

 ブレークスルーキャンプの最大の特徴は、3人程度の学生がグループを結成、あたかもベンチャー企業や社内の新規事業の立ち上げ期のように、わずか2カ月で当初の構想を実際にサービスやアプリとして実装することである。手塚治虫らマンガ家が下積み時代に住んだアパート名にならい、「スマートフォン/ソーシャルメディア時代の『トキワ荘』を作る」がコンセプトだ。

 このような短期間での開発は、昨今のネット企業のスピード感を意識したもの。米国のネット企業では、「要件定義書や仕様書はいらない」という時代に入っている。例えばフェイスブックでは、「何か新しいアイデアを思い付いたら、まず実装してみる。実装したもので、そのサービスの善し悪しを議論するのが当たり前になっている」というのだ。部署内で検討した企画を、ラインを通じて上申し、社内の合意がとれたら実装する、では市場の変化の速さについていけないのである。

 ブレークスルーキャンプは、ネット業界の現在のスピード感を体現した活動と言える。TwitterやFacebookなど現在隆盛を極めるソーシャルメディアに続く、斬新なサービスが生まれるとすれば、こうした「発案、即、実装」を実践している彼らからだろう。