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 オムロンは、独自の「センシング&コントロール」技術で、産業・社会・生活の各分野に、安心・安全、環境、健康といった価値を届ける企業である。

 当社の将来に向けた成長戦略は、現時点で約50%に達している海外事業の比率を、さらに拡大することである。そのため、現在はその実現に向けて、グローバルな規模での収益構造の変革や、人材強化などを中核に据えながら、真のグローバル経営を支えるインフラの構築に努めている。

 その一環として、IT構造改革を継続的に進めている。当社が掲げているのは、経営の観点に基づく3つのチャレンジである。具体的には、ITアーキテクチャー、業務プロセス、ITの開発・運用体制の改革である。

“CMO”で業務プロセスを分類し ERPとカスタム開発を使い分け

オムロン 執行役員 グローバルプロセス革新本部長 吉川 浄 氏
オムロン
執行役員
グローバルプロセス革新本部長
吉川 浄 氏

 まず1つ目のチャレンジ、ITアーキテクチャーの改革について述べる。もともと当社が国内で運用している生産管理や顧客管理、サプライチェーンなどのシステムは30年前に構築し、メインフレームをベースにしたものだ。その後、海外にビジネスを展開する中で、現地の支社などがERPを利用するようになり、国内のメインフレームのインターフェースに合わせてカスタマイズしてシステム連携を図ってきた。このとき、システムの連携はオンライン化しておらず、バッチ処理するしかない状況だった。

 今回のアーキテクチャーの改革では、まずCMO(Common、Module、Option)という3つの階層で業務プロセスを分類している。製造業に共通し、オムロンとしての独自性がない“C”に該当するプロセスについてはERPで対応した。それに対し、オムロンならではの独自性がありオムロン全体で共通性のある“M”、オムロン独自でしかも拠点、事業での特異性のある“O”の両プロセスについてはカスタム開発でそれぞれ再構築することにした。そして、こうしたアプリケーションはSOAによってリアルタイムにサービス連携させるというアプローチを採用することで、全体最適と個別最適を両立させ、俊敏性と柔軟性に優れたシステムを目指した。

プロセス改革とIT改革は両輪 統合的な取り組みが重要な前提

 2つ目の業務プロセス改革については、会計・経営情報、生産、SCM、CRM、PLMに関するグローバルプロセスの確立をITの革新と一体化させて同時に進めている。事業の効率化なり、在庫の最小化なり、顧客サービスの向上なり、新システムによって事業上の成果を出すことにこだわっている。

 3つ目のチャレンジであるITの開発・運用体制の改革の背景には、ガバナンスの確立がある。これまで国内のメインフレームシステムの開発・運用案件は、パートナーに一括でアウトソーシングしていたのに対し、海外拠点におけるERPの開発・運用は現地の判断に委ねており、その体制は一様ではなかった。

 今回目指したシステムでは、複数のITパートナーとの協業を前提にしており、要件に沿った開発・運用体制を整えると同時に、海外拠点も含めたガバナンスの確立を狙っている。

産みの苦しみを乗り越えプロジェクトの完遂を目指す

 オムロンのIT構造改革プロジェクトは2008年度にスタートし、2013年度中にすべての海外拠点で展開を終えることを目標に掲げ、現在進行している。これまで産みの苦しみともいえるいくつかの課題に直面してきた。

 2009年に構築を完了し、順次各拠点に展開を始めた生産システムのケースはその1つだ。2つの工場に導入した時点で、その成果を検証したところ、思ったような業務プロセス改善効果が表れていなかった。その対応策として、一旦展開を凍結し、その2工場にIT改革担当メンバーとプロセス改革担当メンバーの両方を半年間送り込み、改めて業務改革を進めた。すると、ようやく目標としていた業務改善指標をクリアできた。

 ほかにも、解消しなければならない課題は残っている。IBMやオラクルをはじめとするパートナーの力も借りながら、それぞれの課題を解決して、プロジェクトを完了していく覚悟だ。今回構築したITシステムを礎として、真のグローバル企業への変革を成し遂げていきたい。

オムロンがグランプリ

 審査基準は「経営革新・業務改革への貢献度」「システム構築・活用における独創性」「採用技術・手法の先進性」だ。外部の有識者を交えた審査委員会にて審査を行った。審査委員長は、情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター所長の松田晃一氏、審査委員は日本情報システム・ユーザー協会常務理事の原田俊彦氏、情報システム学会事務局長の魚田勝臣氏、日経コンピュータ編集長の木村岳史氏である。

 日経コンピュータには、年間で300を超えるIT活用事例が掲載されている。数ある事例の中からグランプリとして選出されたのがオムロンだ。同社はグローバル化を推進するために、業務プロセス改革と並行しながら約30年ぶりに基幹系システムを刷新するプロジェクトを手掛けている。審査委員会では「IT活用のあるべき姿を実践している」「システム企画・開発力を高める見本になる」といった点が評価された。

 準グランプリは、次世代サービス基盤でサービス品質の向上とコスト削減を両立させたヤマトホールディングスと、仏カルフールなど海外大手が採用しているシステムをいち早く取り入れた全日本食品が受賞。小惑星探査衛星「はやぶさ」プロジェクトを成功させた宇宙航空研究開発機構(JAXA)が特別賞を受賞した。7月12日、東京・品川プリンスで開催されたIT Executive Forum「IT Japan2011」の会場にて、各社・団体への贈賞式を執り行った。