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 課題管理に向くサーバーソフトやGoogleドキュメントといったクラウドサービスなど、便利なツールを手軽に利用できる環境が整ってきた。そうしたツールを使うと、効率よく課題管理ができる。

 しかし、ツールを導入しさえすればうまくいくとは限らない。特に、複数の開発現場を担当する「掛け持ちプロマネ」にとって要注意である。

 掛け持ちプロマネは、それぞれのプロジェクトの管理業務に十分な時間を割けないもの。そこで「ツールでカバーしよう」と考え、課題管理のツールを現場に導入し、メンバーにツールを利用してもらって管理の効率化を図ろうとする。そして、ついメンバーにツールの利用を任せきりにしがちになる。

 確かにツールは便利なものだ。だが、それを現場に押し付けてはいけない。

入力の煩わしさなどでツールが使われず

 このことは筆者の実体験から言える。以前に筆者が担当していたあるプロジェクトでのこと。そのプロジェクトでは、序盤で技術検討と仕様検討をしていた。日々さまざまな課題が出てきてはメンバーが解決していく状況だったので、筆者はプロマネとして状況を効率よくモニタリングしたいと思い、Webベースのツールの導入をメンバーたちに提案した。今から思えば、「開発拠点から離れたオフィスにある自席のPCで、プロジェクトの状況を簡単にチェックできれば楽になる」という筆者の都合から出た提案でもあった。

 メンバーたちも「便利そうだ」と、提案を受け入れてくれた。ツールのインストールと設定はメンバーに行ってもらい、ほどなく運用を開始した。当初はもの珍しさもあったためか、ツールにはどんどん課題が入力されていった。筆者も自席のPCから課題の一覧を眺めて安心した気持ちに浸っていた。

 ところがしばらくすると、管理ツール上での進捗が見られなくなった。「何か問題が起こったのか」と不安になり現場に出向いて確認した。すると、現場では課題の解決は順調に進んでいた。

 実は現場のメンバーは、課題管理ツールへの入力を止め、独自のルールで課題管理をしていたのだ。筆者は困惑してメンバーに理由を尋ねてみた。すると、「入力が煩わしい」「課題対応のステータスをどう使っていいか迷う」「ツールの機能が一部動作せずもどかしい」といった不満が出てきた。

 入力が煩わしいというのは、採用したツールの使い勝手が悪い、という仕方のない側面がある。ただし運用面での不備もあった。メンバーによると、入力項目が多い上に、何を入力していいのか分からない項目も少なくないという。

 課題対応のステータスをどう使っていいか迷うという理由に関しては、ツールの標準設定である、細かいステータス区分のまま使っていたせいで、メンバーが今自分がやっている作業の状況はどのステータスに該当するのかがはっきりしなかった。ステータスを入力するたび頭を悩ませたので、次第に面倒になり更新が滞りがちになったという。

 ツールの機能が一部動作せずもどかしいというのは、ツールに備わっていた「進捗状況をガントチャートで表示する機能」に関するものだった。この機能が思うように動かなかったのが気になり試行錯誤したが、どうにもならずツールを利用する気が失せたのだという。課題の解決状況をガントチャートで表示することは、課題管理上は必須でない。しかし機能がうまく動かないことがもどかしくなって、機能の改善に専念してしまったようだ。メンバーのその気持ちは分からなくはない。これも筆者があらかじめ調べた上で、必要な機能だけ使えばよいと言っておけば済むことだった。