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 プロジェクトチームの課題管理表において、さほど難しくないToDoといえる作業まで載せたことはないだろうか。例えば、以下のような作業である。

・開発支援ツールのPCへのインストール
・サーバーOSのセットアップ
・定例会議の議事録作成

 これらはいずれも、プロジェクトメンバー個人のToDoリストに書かれていておかしくない内容である。課題管理表は、ToDoリストでない。すぐ解決できるToDoを、課題管理表で管理してはいけない。ToDoまで課題管理表に載せると、管理対象の件数が大幅に増える。するとPMにとって、課題管理表への登録やステータスの変更といったメンテナンスの手間が大きくなり、解決すべき問題の優先順位付けのような重要な作業に割く時間がどうしても減ってしまう。

PMがToDoを優先的に片付ける

 筆者もかつて、この失敗を犯したことがある。PMとして経験を積み始めたころ、メンバーが3人のプロジェクトを担当した。小規模な開発チームだったこともあり、筆者はPMとしての役割だけでなく、設計やプログラミングなどの実務もこなした。

 プロジェクトが始まると、筆者はチームの課題を明らかにするために、重要な課題だけでなく、各メンバーのToDoもすべて課題管理表にリストアップするよう指示した。そうすることによって、筆者はチーム全体の状況を細かくつかむことができた。

 ところが設計担当者やプログラマとしての役割をこなしていたこともあり、頭がすっかり「開発者モード」に切り替わった状態で、課題管理表をとらえてしまった。「こんな課題なら、自分でやったほうが早い」と、リストアップされた課題のうち比較的簡単なToDoをどんどん片付けていった。課題管理表の課題を減らしていくのは気持ちがよかったし、仕事をしているという充実感があった。筆者は、朝から晩までのほとんどの時間を課題管理表のToDo減らしに費やした。メンバーにとって筆者は、「タスク(ToDo)を代わりにやってくれるありがたい先輩」という存在だった。

 最終的にプロジェクトは遅延こそしなかったが、稼働後に解決が難しいいくつかの障害が発生した。筆者がPMとして責任を持ってプロジェクト全体を見ていなかったことが原因だ。PMは、課題管理表に載せる課題を選別し、重要な課題の解決に注力すべきだ。そう痛感させられたプロジェクトだった。

岡島 幸男(おかじま ゆきお)
永和システムマネジメント 組込技術センター センター長
1971年福井県生まれ。同志社大学経済学部卒業後、株式会社永和システムマネジメントに入社。業務系開発でエンジニアとしてのキャリアを積み、現在は主に組み込み系開発グループのマネジメントを行っている。著書に『ソフトウェア開発を成功させるチームビルディング』(ソフトバンククリエイティブ)、『受託開発の極意―変化はあなたから始まる。現場から学ぶ実践手法』(技術評論社)などがある。