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 ERPパッケージを利用するIT部門が、IFRS対応を進めるなかで抱える課題の一つが、バージョンアップのタイミングだ。IFRSの任意(早期)適用を目指す双日は、全社で進めるIFRS対応に先駆けてERPのバージョンアップを実施することで、IT部門としての準備を整えた。

 ERPパッケージを利用している企業にとって、最新版へのバージョンアップはIFRS(国際会計基準)対応を進めるうえで必須ともいえる作業だ。ERPベンダーはIFRSが求める会計処理や、複数の会計基準に基づいて財務諸表を作成する機能を最新版で実装しているためである。

 難しいのはバージョンアップのタイミングだ。全社で進めるIFRS対応プロジェクトからの要件を待っていると、IFRSの適用開始に間に合わない可能性もある。一方でバージョンアップが早すぎると、全社プロジェクトからの要件や改訂が続くIFRSへの対応に必要な要件を取り込めず、適用間近に再びバージョンアップが必要になる場合もあり得る。

 総合商社の双日はIFRS対応プロジェクトに先行して、ERPをバ ージョンアップするやり方を選んだ。「IFRSを適用するタイミングで、ERPが最新版になっていないほうが問題だと割り切った」と赤司一郎CIO(最高情報責任者)補佐は説明する。

 赤司CIO補佐は「ERPは会社を支える基盤。最新の状態にしてIFRS対応をはじめとする業務を支えることが、IT部門の役割だと考えている」と話す。

バージョンアップが急務に

 双日のIT部門に当たる情報企画部はERPのバージョンアップを2008年10月から準備し、09年6月に作業を本格的に開始した。同社が全社的にIFRS対応プロジェクトを始めたのは10年6月なので、1年早くスタートしたことになる()。

図●双日のERPバージョンアップとIFRSプロジェクトの経緯
図1●双日のERPバージョンアップとIFRSプロジェクトの経緯
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 バージョンアップを先行して進めた最大の理由を、赤司CIO補佐は「利用していたERPのサポートが問題だった」と説明する。同社が04年から使っていたERPは、独SAPの「R/3 4.6C」。すでに標準サポートの期限が切れており、保守料金の料率が上がっていた。一部の法規制改正に対応していないなどの問題もあった。

 最新版である「ERP 6.0」にバージョンアップすれば、標準のサポ ート料率で済むのでITコストを抑えられ、法規制改正にも対応できる。情報企画部にとって、バージョンアップは4年以上前から抱えていた悩みだった。SAPがERP 6.0以降、メジャーバージョンアップをやめると宣言したことも後押しした。

 ERPへのアドオン(追加開発)ソフトは変更せずに移行する方針を採った。「商社はビジネスの変化が激しい。以前開発したが今は利用していないアドオンソフトも、再度使う可能性がある」(赤司CIO補佐)ことを考慮した。