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 コイル大手の東光がIFRSへの対応を進めている。各国の拠点ごとに異なっていた会計処理や勘定科目の統一に向け、本社と子会社の会計システムを刷新中だ。短期間で導入できるクラウド型のERPを利用。2年で24拠点への導入完了を目指す。

 「IFRS(国際会計基準)対応の狙いは、世界各国の拠点間の比較を容易にして、経営管理を底上げすることにある。計画を見直すつもりはない」。東光 経理センター経理財務部の梶野慎部長は、同社が進めているIFRS対応プロジェクトについてこう語る。

 IFRSそのものを日本の会計基準として採用する強制適用について、不透明な状況が続く。IFRS対応計画を見直す企業もある。しかし、東光は計画を変更せずに2012年末の完了に向け、対応プロジェクトに取り組んでいる。

まず決算期と監査法人を統一

 東光は車載電装機器やモバイル機器などで利用するコイル製造・販売大手。中国やベトナムを中心としたアジア、米国、欧州などに生産工場や販売会社を持つ。

 連結決算の対象企業は国内が本社を含めて4社、海外が20社と圧倒的に海外が多い。11年12月期の予想連結売上高は290億円、うち79%が海外からの見込みだ。

図●東光がIFRS対応に向けて取り組んでいる四つの統一
図●東光がIFRS対応に向けて取り組んでいる四つの統一
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 IFRS対応に向けて、東光は四つの取り組みを進めている。海外を含む各拠点が利用する会計システムの統一、それに伴う会計処理の統一、そして決算期の統一、監査法人の統一だ()。

 会計システムや会計処理の統一に先駆けて、決算期と監査法人の統一を10年12月期までに終えた。決算期は10年度に3月期から12月期に変更した。IFRSではグループ各社の決算期を原則、統一することを求めている。監査法人は、世界的なネットワークを持つ監査法人トーマツに統一した。

複数元帳と機能通貨を重視

 東光が現在、進めているのは会計システムと会計処理を統一するプロジェクトである。

 会計システムの構築には、SAPジャパンのERPパッケージ「SAP ERP」をクラウド型で利用できるサービスを採用した。電通国際情報サービス(ISID)が提供しており、システムの構築もISIDが担当する。

 本社を含む日本の4社と海外の20社は、クラウドを通じSAP ERPの財務会計モジュールを利用する。「3社の提案から、IFRS対応に必要な機能があるか、2年で導入できるかを考慮して選んだ」と梶野部長は振り返る。

 東光はIFRS対応の機能として、複数元帳と機能通貨管理の二つが特に必要だと考えた。複数元帳は、IFRSと各拠点ごとの会計基準の両方に基づく元帳を保持する機能。複数元帳を利用すれば、「連結決算や社内管理にはIFRS、各拠点の税務処理には各拠点の会計基準に基づく数値を利用できる」と梶野部長は話す。

 機能通貨は、決裁などで利用する通貨とは別に企業が事前に決めた通貨で取引を管理する機能だ。現在の日本の会計基準にはない考え方だが、IFRSでは機能通貨での管理が必要になる。アジア、米国、欧州などに拠点を持つ東光が扱う通貨は多岐にわたるため、システム化が必要と考えた。

 オンプレミス(サーバー設置型)でなくクラウド型のERPを選んだのは、短期間で導入する必要があったからだ。