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 東経110度CS放送の申請受付が9月末で締め切られた。申請前に掲載した審査基準に関連する記事を2週にわたり掲載する。

 東経110度CS放送の申請受付が2011年8月19日に始まった。締め切りは9月末である。新BSの認定を受けたチャンネルの中には110度CSで放送していたものもあり、そこがBSに移行することによって空く帯域も含めて110度CSの放送枠を全て埋めてしまおうというものである。

 審査基準には色々と論点があるのだが、今回の審査基準がパズルのように複雑なものになっているため、まずは審査基準自体を分かりやすく整理したいと思う。

 総務省は東経110度CS放送に係る委託放送業務の認定に当たって、「放送法関係審査基準(平成13年1月6日総務省訓令第68号)」の一部を改正する訓令案を作成した。そこで示された今回の認定基準は、3段階に分かれている。まず(1)12スロット以上返上する申請を優先(対象周波数は当初の空き周波数(最大HDTV6番組分))、次に(2)HDTV番組の審査(対象周波数は当初の空き周波数の残り+(1)の返上周波数)、最後に(3)SDTV番組の審査(対象周波数は当初の空き周波数の残り+(2)の返上周波数)ということになっている。(2)と(3)については、「事業開始までの資金調達」や「青少年の保護」といった15項目の比較審査基準の審査項目が示されている。

 ここで注意を要するのは、(1)、(2)、(3)の順に決まっていくことである。仮にSDTV放送で構わないから110度CS放送の免許が欲しいと考える事業者であっても、(3)は順番が最後になるため、対象となる空き周波数がどれだけになるのか分からない。そこで、まず(1)から読み解くことが必要になる。

 110度CSからBSに移行するチャンネルの帯域である92スロットと、一部事業者の協力で生ずる4スロットを合計して、96スロットの空き帯域ができている。ちょうど2トラポン分に相当する。今回の認定によって、96スロット全部を埋めてしまおうというのが総務省の考えであり、その際にHDTVのチャンネルを多く作ることを優先する。考え方として、HDTVには16スロット、SDTVには6スロットが必要というのが標準とされている。空いている96スロットは、6つのHDTVチャンネルに相当する。

 (1)の認定基準とは、12スロットを返上して、16スロットを得ようというチャンネルを優先する。現状は6スロットとか、7スロット使っているチャンネルは、今後放送を廃止するチャンネルなどからそのスロットを譲り受けることにより、12スロットを用意する必要がある。96スロットを空けてあるため、12スロットを返上できるチャンネルは6つ(96÷16)までとなる。ただし、この方法での認定を求めるところが7つ以上あった場合は、数が合わなくなるので適用されない。とは言え、まずは12スロットを用意しなければいけないのと、加入者数の伸び具合から110度CSでの放送をやめるチャンネルが多くあると思えないことからすると、12スロットを集められるチャンネルが7つ以上出てくることは想定しがたいため、6つ以内であれば当選確実である。

 次に(2)の認定基準に行く。これは、最初に(1)で認定した後に残る帯域が対象となる。新たに16スロットを得るチャンネルは、それぞれ12スロットを返上することが条件なので、(1)で決まったチャンネルが5つにとどまれば、60スロット(12×5)が返上される。加えて、16スロット分が決まっていないので、合計で76スロットが対象になる。

 その76スロットの範囲内で、16スロットのHDTVチャンネルを認定するので、最大64スロット(4チャンネル分)まで埋まることになる。ここでは、先に述べた15の審査基準によって比較審査されることになる。その残った帯域を使い(3)のSDTVチャンネルを認定する。その際にも15の審査基準で比較審査して決める。以上の段階的な流れになるが、どうしても新規参入を求めるチャンネルには不利になる。新規であるため、返上する帯域を持っていないからである。

 15項目の比較審査基準については、次号で述べる予定だが、その前にパズルのような審査基準を読み解いた次第である。110度CSの有望さからすると、HDTV化や新規参入を望むところは結構な数になると思われる。トラポン代の負担を軽くしようと、最初からSDでの参入を望んでも、いきなり(3)の審査に行かないことを理解しておく必要がある。また、12スロットを用意するためのチャンネル同士の駆け引きも、水面下で激しく行われることになりそうである。