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 「Nsxpres」は、図面管理ソフトウエアをASP化することを目的に開発された。それから10年。新日鉄ソリューションズは次世代の「Nsxpres!)」(画面)へとサービスを進化させた。顧客の変化に対応できなければ、サービスを継続することはできない。(ITpro編集)

画面●新日鉄ソリューションズ「NsxpresII」
画面●新日鉄ソリューションズ「NsxpresII」

 「Nsxpres」は図面管理のASPです。サービスを開始した10年前、図面を社外に保管するというのを、企業が受け入れるのは難しいことでした。外に預けて大丈夫であるか、漏洩することはないのか、費用は高くならないのか、将来的に保証されるのか、といった心配が先に立つからです。ただ、これは情報システム部門の視点です。

 エンドユーザーの視点に立てば、図面をASPで管理するというのは役に立つサービスであるという確信を持っていました。エンドユーザーと話をすると、様々な要望が出てきます。建設や住宅メーカーの現場では「携帯電話で工事日報情報や現場写真をASPに登録して本部と共有したい」「工事の進捗状況をチャートで見えるようにしてほしい」「海外のオンサイトでの情報共有のために多言語対応してほしい」「パスワードの有効期限を細かく設定したい」といった要件が出てきました。当初、我々が想定していた図面管理ASPの利用範囲を超え、様々な利用方法が見えてくるとともに、それまで提供できていない多くの要件が出てきたのです。

 最初の1年は、人海戦術で顧客ニーズをひたすら集めました。エンドユーザーとの会話の中から、より良いシステムとするためのヒントを得ることに取り組みました。そこから得られた多くの知見をベースに、要件に対応できる図面管理ASPの標準機能としての実現方法を模索し、改善していきました。

 ある顧客から頂いたヒントをもとに実装した機能が、他の顧客の要件とはマッチしないことも多く発生します。ASPサービスをそれぞれの顧客のビジネスに役立ててもらうには、それぞれの業務に合わせられるサービスが求められます。他の多くのASPがそうであるように、我々も金太郎飴的なサービスを当初は志向していましたが、やはり顧客別のカスタマイズが必要であり、それが大きな付加価値を生み出すということで、基本方針を変えることになりました。

紙をなくそう

 情報システムがこれだけ浸透しても、オフィスには紙が散乱しています。図面管理のASPを使うことになっても、紙はなくなりません。当時はエコという言葉はありませんでしたが、業務の効率化、ホワイトカラーの生産性の向上といった全体最適の観点からは大きな問題です。ASPを採用しても、この問題の解決につながらないことがASP普及の阻害要因になっていたと思います。

 ASP上の電子化文書を原本とすることができるのか。紙と電子媒体の両方を保存する必要があるのか。重要書類には既存からの膨大な紙文書が残っているがその扱いはどうするのか。統合的に管理する方法は無いのか――。このようなことが問題として浮上してきたのです。

 こうした問題に応えるために、図面管理ASPを書類管理ASPへと発展させることにしました。単に保管する物を変更するだけでなく、書類に関わる業務の中に組み込める仕組みを提供することが必要でした。書類に関わるニーズは、企業によって様々です。「書類の社内決裁から、関係会社への配布、受領確認、そして、回答受領までを統合的に管理したい」「既存の紙文書と電子化した文書を統合的に管理したい」「書類の作成から発行、関係先との授受管理や貸し出し管理も行いたい」など多岐にわたります。

 また、顧客の社内システムとの連携要望も多くありました。「ASPに登録されている案件情報を社内システムからワンクリックで表示したい」「ASPに登録された文書を社内のプリンタからまとめて一括で印刷したい」「社内の人事マスタや取引先マスタと同期を取ってほしい」といったものです。その要望に応えるために、顧客ごとに異なるシステム機能が実装できるようシステムのアーキテクチャーを大幅に変更しました。

 その結果、顧客ごとの業務に合わせた機能追加が可能になり、他社システムとの連携も行えるようになりました。「nsxpres-BPOサービス」として提供しています。nsxpres-BPOサービスは、トランククルームと連携した紙文書と電子化文書の統合管理や、顧客ごとのシステム機能と連携した関係会社への情報配信など、ASPサービスの枠を超えて顧客ごとの業務機能にまで踏み込んだ領域をカバーするサービスとなっています。

 紙文書と電子化文書の統合管理については、契約書を倉庫に保管する際に、契約書をスキャンして電子化します。契約書番号体系に基づいて書類を整理し、電子化された契約書と原本を統合して保管することにより、これらの問題を解決しています。サービスを開始した当初は、顧客の拠点ごとに原本の管理方法が異なっていたり保管媒体が統一されていなかったりするケースが多くありました。既存の文書や媒体の整理および電子化作業の手順設計を顧客と一緒に行うことからはじめ、文書の統合管理化を進めました。

 この紙文書と電子化文書の統合管理サービスでは、顧客が書類を倉庫に送るとインデックスを付け保管されます。保管された自社の文書は、インターネットから検索でき、必要があれば電子化要求ができます。電子化された文書は、パソコン上で閲覧できます。原本を探したり、倉庫から取り寄せる手間が省けるとともに、必要な時間を圧倒的に短縮することができます。また、原本紛失のリスクも減らすことができます。このサービスは現在、「NsxpresII原本管理サービス」として提供しています。

 関係者への情報配信については、従来、社内システムからの出力情報に基づいて、紙による見積照会や仕様書を配布している例が数多くありました。購買部では取引先別の郵便受けのようなものを設置し、見積もり照会などの書類をいれておき、取引先は来社した際に持ち帰るといったやり方はごく普通でした。しかし、これだと取引関係書類の授受に日数がかかります。取引が少ない企業にとっては負担になるし、調達先を変更しにくいという問題もあります。そこで、一般品の調達先を増やすための電子的な配布システムの検討が始まりました。

 見積照会や契約書類に留まらず、顧客の社内システムと連携して、関係会社に情報配信を行いたいという要望は、販売代理店に対する製品カタログやマニュアル、製品変更の案内、設計仕様書の授受など多岐にわたっていました。顧客ごとの社内システムとの連携や、セキュアなWeb/メール配信を付加することで、様々な業種で利用できるソリューションに発展させることができました。このサービスは現在、「NsxpresII共有配信サービス」として提供しています。NsxpresII原本管理サービスと連携させることで、配布した書類の電子ファイル化、原本の保管、保管文書の参照がストレスなく行えます。

 10年の歴史の中で、顧客が抱えている課題をヒントに、要望を積極的に取り込んできました。「ASPは中小企業向け」というイメージがあるかもしれませんが、大企業の基幹業務の一部として利用されるまでに適用領域を拡大できました。

電子契約サービスへ

 現在、既存顧客に提案しているのが、電子契約サービスです。このサービスについても、顧客ニーズを数年間にわたって分析し、自社内向けにサービスを立ち上げることから始めました。

 電子的な契約は、印紙の廃止や契約進捗の見える化、契約更新の漏れ防止などメリットが多いのですが、一方で課題もあります。企業間取引で電子契約を行うには、取引先との合意や社内手続きの変更、重要書類の管理規定見直しなどが必要になります。また、取引先に電子契約のために新たに機器やソフトウエアを準備してもらう必要があると、切り替えが難しくなります。データ入力の手間が増えては困るといった要望もありました。

 この対策として、業務運用手順の見直し、取引先との合意手続き、社内システムとの連携、電子署名ツールの整備などを社内関係箇所と手探りで解決し、実業務で利用できるようになりました。現在は、社内で得たノウハウを導入ガイドとして整備しています。契約業務に関わる支援機能の強化にも取り組んでいます。

 現在では、1万人以上のエンドユーザーが「NsxpresII」を利用しています。サービスメニューは10種類近くあり、国内有数のASPサービス事業者へと発展できたと自負しています。

松島 晴彦(まつしま はるひこ)
新日鉄ソリューションズ ITインフラソリューション事業本部 ITサービス事業部 クラウドサービス事業班長
新日鉄ソリューションズ 松島 晴彦(まつしま はるひこ)1981年、東京工業大学大学院卒業後、新日本製鐵に入社。スタンフォード大学大学院留学後、新規事業領域に従事。2007年より、サービス事業セグメントに従事し、現在はクラウドサービス推進者として活躍中。