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 東経110度CS放送の申請受付が9月末で締め切られ、10月5日には申請者の顔ぶれが発表された(発表資料)。申請前に掲載した審査基準に関連する記事を2週にわたり掲載する。今回は2回目で、比較審査の項目を解説する。

 東経110度CS放送の免許は、プラチナチケットであるため、新規に取りに行くチャンネルと、既存のチャンネルのHDTV化を図ろうと考えるチャンネルとが、せめぎ合いを演じることになる。当然のことながら、審査基準に注目が集まる。

 基本的な考え方としては、HDTV、SDTV、超短波およびデータ、その他の順番で優先される。HDTV、SDTVそれぞれの中で同順位になった場合は、(1)広告放送が3割以下(よってショッピング専門チャンネルはダメ)、(2)青少年保護の見地から成人番組はダメ、(3)字幕放送の充実、(4)放送がより高画質である、の4項目で審査される。これらは、3波共用機が家の中のメインのテレビになり、家族の誰もがアクセスできる環境になったことに対応した審査基準として非常に妥当なものと思われる。

 この4項目による比較審査を行い残ったチャンネルは、次の段階の審査項目でチェックされる。まずは、事業開始までの資金調達と、事業開始後の収入および費用である。スタート早々に破綻されても困るので、当然の審査基準と言えるだろう。次に、放送番組の制作と調達がチェックされる。当然のことながら、これまで全く放送事業を営んだことのない事業者も申請は可能であり、放送事業を継続的に行えるかどうかが審査される。さらに、「放送番組の適正をはかるための措置」がある。番組審議会をきちんと行うとか、放送基準が定まっているなども含めて、考査の体制ができているかが見られる。

 マスメディア集中排除規制も適用されるが、これは各放送メディアの発足時に適用されたのと同様、10%以上の株式を持つことは支配に当たるとされる。BSデジタル放送が始まったばかりの頃、3割まで持てるとか、5割まで持てるとしていたことがあったが、今回はそれを外して原則通りの10%未満というルールが適用される。

 次に、放送番組の多様性もチェックされる対象となる。新規の事業者が申請してきたときに、返上する帯域は持っていなくても、これまでの110度CSには無かったジャンルのチャンネルは優先される。前回の新BS審査時では再放送の割合が低い方が優先されたので、同様の審査がなされるのだろうと思われる。

 広告放送を3割以下にすべきという基準は、最初の4項目で見られるものの一つである。個人情報保護や青少年保護、字幕などに関連する項目も列挙されている。

 基準の中には、どう判断するのか分からないものもある。つまり、放送をHDTVにする必要性が高いチャンネルが優先されるというのだが、その必要性の意味はよく分からない。例えばアニメに16スロットも必要なのかということは、以前から言われ続けているところである。アニメの場合には、16スロットも使わなくても、かなり高画質で放送できるからだ。

 放送事業が未経験な事業者向けだろうと思われるが、設備の維持もきちんとやるようにと書かれている。ただ、この点については、各社ともスカパーに委託することになるので特に問題はない。

 判断が分かれるもう一つの基準が、放送番組の視聴需要がチェックされるところである。何をもって需要が高いと判断するのかとパブコメで問われたが、総務省は視聴料収入の額で判断すると回答している。その場合に、月額の視聴料が1万円で100人の視聴者がいる場合と、月額の視聴料は100円だが1万人の視聴者がいる場合では、視聴料収入は同額となる。そのケースでどちらを優先するのかも判断が分かれるところだろう。

 なお12スロットを返上して16スロットを取りに行くにあたって、委託放送事業者が自らの帯域から集めなくても、他の委託放送事業者から譲渡を受けて12スロットを用意しても構わないと書かれている。そうなるとショップチャンネルやキッズステーションのように、24スロットを使って放送している事業者に、6スロットを譲ってほしいといった依頼が殺到してくる可能性も大きい。

 今回の110度CSの申請というのは、プラチナチケットである上に、複雑な免許条件となっていて、なおかつ判断の分かれる項目もある。委託放送事業者の傘下で放送を行っている事業者からすると、委託放送事業者が自ら帯域を使いたいので、外れてほしいと言われるのではないかと戦々恐々としているところもある。ただ、単純な仕組みではなく、色々な戦略的な工夫を凝らすことも可能になっているので、くれぐれも慎重な取り組みが求められよう。