「理系の科目では、図が描けることが重要だということを覚えておくように。だから期末試験では、解答を示す図だけでもしっかり書けたら50点とする。解答の文章が全く書けていなくても50点だ」――私事で恐縮だが、この本を読んでいて、学生だった頃に理系の教授にこう言われたことを思い出した。
本書はIPネットワークで動作する基本的なプロトコルの仕組みを解説した、入門者向けの一冊。日経NETWORKでも図を多用してネットワークの仕組みを解説しているが、本書も非常に多くの図を使い、読者の理解の手助けになるように工夫している。前述の理系の教授も、この本を見たら50点はくれるかもしれない。もちろん解説の文章もちゃんとある。あくまでも「ネットワークの基本とおおまかな仕組み」を整理するための最低限の内容ではあるが、ほどよい文章量でさくっと読める。入門者がネットワークの知識を整理するのであれば、これで十分だろう。
なお本書は2001年に発行された「よくわかるTCP/IPとインターネットプロトコルの基本と仕組み」をベースに、IPv6などの最新動向を加えたものだ。
図解入門 最新TCP/IPの基本と仕組み
谷口 功著
秀和システム発行
1890円(税込)