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 売り上げを伸ばすための過剰なサービスは必要ないし、会社として利益も求めない――。富士フイルムビジネスエキスパート(FFBX)の青木社長は2007年に同社が設立される前、約1年かけて経営方針を検討し、関係者に理解を求めた。

 「事業会社にはFFBXの利益はほとんど乗せず、かかった費用だけを請求する。それでコストを透明化した」。その代わり、事業会社にはシェアードサービスの理由やメリットをよく理解してもらい、業務の標準化や共通化に協力してもらう。各社固有のプロセスの仕事をそのまま引き受ける“間接業務のデパート”ではコストは下がらない。

事業会社の支払いが減れば、評価が上がる

図1●FFBXは自社の評価指標「GC」を定めた
図1●FFBXは自社の評価指標「GC」を定めた
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 FFBXの売り上げは、事業会社が支払う間接業務コストの総和とほぼ等しいので「減っていくのが理想的だ。社内ではよく『売り上げゼロを目指す』と言っている」。売り上げも利益も追わずグループのコスト削減効果で評価を得る、これがFFBXの考え方だ。

 そこでFFBXは「GC(グループコントリビューション)」と呼ぶ評価指標を定義した(図1)。GCを改善することに徹し、モチベーションを保つ。過去2年のコスト削減効果はGCで約100億円と計算している。

 例えば業務の標準化で人事の受託費が下がったときは、引き下げ分を「GC-A」にカウントした。自社のリソース活用にこだわることなく、8400台ある社用車の車両管理の一部を大連にBPOしたときも、そのコスト減少分をGC-Aにカウントする。

 つまり、GC-Aは「事業会社からの受託費を継続的に下げていきながらも、FFBXが赤字にならない程度の最低限の営業利益を出せるようにコスト削減努力を続け、同時に新規業務を獲得してシェアードサービスを拡大することへの評価」なのだ。

 一方、グループ全体で各種保険を一括契約に変えて事業会社から保険会社への外部支払い額が減ったとき、その減少分は「GC-B」に加える。同様に出張旅費の引き下げなどもGC-Bの対象だ。

図2●間接業務のフローを記述するツール「iGrafx」を使い、7500の業務を見直す
図2●間接業務のフローを記述するツール「iGrafx」を使い、7500の業務を見直す
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 間接材購買のコストダウン効果については、FFBXが購入先の再選定や商品仕様の変更、標準品の設定などで安価な買い物をリードし、実際に支払う金額を下げられたとき、当初の見積もり平均額と支払った金額の差をコスト削減効果としてカウントする。過去2年のGC100億円のうち、この効果が半分以上を占める。

 このほか、FFBXは業務フローの記述ツールを使って7500もの業務プロセスを見える化しつつ見直した(図2)。標準化や共通化なくしてGCは改善できない。

 日本企業の中には、シェアードサービス子会社を一貫してコスト削減センターと位置付け、ノウハウを蓄積してきた事例もある。その1社として、次回は帝人子会社の事例を紹介する。