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 間接部門を集約したシェアードサービス組織の在り方は、大企業では分社化した「子会社型」が多い。だが、小林製薬は本社内に該当組織を作る「本社部門型」を採っている。

 2006年度から本格稼働している「ビジネスシステムセンター」がそれだ。過去3年は同センターが事務局となったムダ取りで毎年5億円以上のコスト削減に成功した。

 センター長の山本英嗣執行役員は小林製薬の幹部候補育成プログラム「小林K営塾」に参加し、そこでビジネスシステムセンターの原型となるアイデアを提案。そのまま担当役員に抜てきされた。

図●業務のフローチャート作成を指示する、グループ統括本社の山本英嗣執行役員ビジネスシステムセンター長。情報システム畑一筋だ
図●業務のフローチャート作成を指示する、グループ統括本社の山本英嗣執行役員ビジネスシステムセンター長。情報システム畑一筋だ
写真撮影:太田 未来子
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 小林K営塾に限らず、小林製薬にはユニークな名称の活動が多い。ビジネスシステムセンターに関しては「コストダウン貯金箱」「ぶつぶつ」の2つが代表的だ。

 コストダウン貯金箱は「身の回りの業務の無駄やミスを省いて時間を節約(貯金)していく」活動を指す。本来の仕事に費やせる時間を増やすことが狙いで、毎年1万時間を削減してきた実績がある。

 一方のぶつぶつは「社員が日ごろからぶつぶつ言っている不満の中身に改善のヒントがあるととらえ、提出が義務付けられた日報に記入する」活動だ。改善が必要な業務を特定し、地道にフローチャートを書き起こす(図)。

フローチャートの書き方を全員に指導

 ただし、経理や人事などの間接部門出身者はフローチャートの書き方を知らないことが多い。そこで情報システム部門出身の山本執行役員自ら、センターのメンバーに書き方を教えている。

 「時間をかけてでも一つひとつ考えながらフローを書く過程で『ここが無駄かな』と思える部分が見えてくる」(山本執行役員)。その部分には吹き出しを付けて、担当者にコメントを書き込ませる。それが改善のアイデアになる。

 同社は2010年9月にワークフロー・ツールをグループウエアの「ノーツ」からウェブベースのツールに変更する。それに備えてフローの“棚卸し”も進めているところだ。

 2009年度からは事業部門の困り事を聞き出す「御用聞き」も始めた。無駄を無くしたり、業務効率化を推進したりするのはもちろんだが、「体を動かしてシェアードサービス部門の存在を社内にアピールする」(山本執行役員)狙いもある。

 シェアードサービス部門の存在を社員に少しでも認知・理解してもらえるかどうかが、コスト削減の先行きを大きく左右すると考えているのだ。