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 今や携帯で写真を撮影してメールで送るのは当たり前になっているが、スマートフォンではさらに大容量のデータをやり取りするようになり、データセンター側に蓄えるデータ量も膨大なものになっている。こんな時代を生み出すきっかけとなったサービスが「写メール」。その生みの親が、ジェミナイ・モバイル・テクノロジーズ 代表取締役社長の太田 洋氏である。スマートフォン隆盛の状況をどのように捉え、そしてこれからどうなっていくかを、太田氏に聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


ジェミナイ・モバイル・テクノロジーズ 代表取締役社長 太田 洋氏
ジェミナイ・モバイル・テクノロジーズ 代表取締役社長 太田 洋氏

 なぜスマートフォンかを考える前に、従来の携帯電話について考えてみたい。携帯電話の重要なポイントは、着信のキャパビリティーというか、着信率が圧倒的に高いこと。移動体は基本的にはその人に向かってかける。もちろん自分からかけることもあるが、自分からガンガン電話をかけるヘビーユーザーは「着信も受けたい」という心理があって、メールであっても電話であっても、どんどん受信したい、それもリアルタイムに受けたい、というコミュニケーションの世界ができた。

スマートフォンは電話の着信+新しいコミュニケーション手段

 一方、スマートフォンは元々パソコンから発展してきている。どちらかと言うとダイヤルアップ型で、自らネットワークにつないで自分のメールボックスにメールが来ているかを確認しにいく、といったように自分からアクティベイトする通信手段を取る。SNSはまさにそれにあてはまる。自分のプロファイルを世の中に出して、それで様々な人の反応を見たい。そういうコミュニケーションのパターンがパソコン側から普及していった。

 コミュニケーションの形はどんどん変わってきている。例えば米国の学生は、メールアドレスや電話番号を交換しないという。FacebookのIDを聞かれるだけ。Facebookをやっていないとコミュニケーションできないところまできている。若い世代はそういうコミュニケーションのパターンに変わってきている。SNSは相当スマートフォンをけん引した。

 スマートフォンは、電話が元々持っていた着信という本質的な機能に、パソコン側から普及した新しいコミュニケーション手段を加えていった。つまりパソコンのいいところと、電話機をつなげたところが普及の理由だろう。

 ただ、今の時点では残念ながら両方入ってはいるが、ちゃんと連動しているかというと実はバラバラだなぁと、思っている。今はパソコンと電話がとりあえず同居しているだけで連携していないような気がする。誰がそれを解決するか。今はパソコン側の開発をしてきた米アップルや米グーグルが中心になってプラットフォームを開発している状況にあるが、将来はどうだろうか。

Webメールに端を発するビッグデータが変える

 コミュニケーションという点では、例えばメールの世界の変化が象徴的だ。携帯メールはストア・アンド・フォアード方式。ダウンロードしたらサーバー側で保存せずにどんどん消していく。あくまでも携帯で送受信するメール。メールはプッシュ型で、ユーザーがそれに気づいてダウンロードすればACKを返してサーバー側のデータを消す。

 一方、GmailなどWebメールは逆の発想。メールを使うデバイスはパソコンだったり、携帯だったりするので、なるべく保存する、という発想で生まれている。過去の送受信の履歴を全部同期しないといけない。データを大量に蓄える必要がある。そうするとギガバイトメールボックスという世界に入ってくるため、安く大量のデータを蓄えるストレージが重要になってくる。

 携帯メールはなぜそれができないか。それはそもそもシステムが違うから。従来のRDB(リレーショナルデータベース)で何Gバイトというメールボックスを持たせて作るとコストが高くなって、ユーザーには払えない料金になる。それができるように、汎用的、経済的に構築する方法を米国ではグーグルやアマゾン・ドット・コムなどが当たり前のようにやっている。

 例えばグーグルは大量のデータをいかに安く処理するか、ということからNoSQLのデータベースBigTableを自社で開発し、安い汎用サーバーをずらっと並べてスケールアウト型で拡張していき、エクサバイト単位でデータを管理している。

 データが爆発的に増えることをビッグデータという言い方をするが、いまやテラ、ペタという単位が当たり前。そこまでデータが爆発する理由の一つがスマートフォンなどがパソコン的な通信をどんどんやることだ。画面が大きくなれば画像データの精細度も上がり、データサイズも上がってくる。こうしたスマートフォンの利用を後押しする大量データの処理技術の開発が進んでいることも、普及の背景にはあるだろう。(談)