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 米アップルや米アマゾンは、なぜ失敗を乗り越えて大成功できたのか。本書はビジネススクールで起業について教える二人の著者が、破壊的なイノベーションを起こす方法を解説した一冊だ。

 大成功したビジネスは「プランA(初期計画)」からは生まれない。プランAの失敗を検証し、試行錯誤するプロセスのなかから発見した「プランB」こそが成功につながるという。さらに重要なのは、「プランB」への移行を体系的に実行することだ。本書はこの2点を膨大な事例に基づいて検証する。

 移行プロセスを体系的に行うためには、「類似例」「反例」「未踏の信念(Leaps of faith)」「ダッシュボード」の4要素が必要であると著者は説く。

 まずは、ビジネスを実現する方法に対して、類似例と反例を見つける。そして、類似例や反例から生じた疑問から未踏の信念を見極める。本書は未踏の信念を「現実に正しい証拠もないにも関わらず、答えに確信をいだいていること」と定義する。未踏の信念を早く特定すれば、プランAを進めるか、プランBに移行すべきかを早く検証でき、時間や費用を節約できる。アップルがiPodを成功させた事例を通じて、この主張を説明している。最後の要素のダッシュボードは、計画立案や仮説検証から学んだ結果を記録し、プランBへ移行するために有効な道具だという。

 プランAからプランBへ移行する際は、五つのビジネスモデルを検討し、そして先に示した四つの要素と組み合わせて、20パターンの「ビジネスモデル・グリッド」を作ることが重要だと説く。その上で、各ビジネスモデルごとに最適な事例を紹介している。

 プランAの失敗からプランBを発見し、プランBで成功するという考え方は企業や新規事業でもインパクトがある。豊富な事例を使った説明はストーリーとしても面白い。米グーグルなどIT企業に限らず、トヨタ自動車や米コストコなど幅広い業種から成功例を見いだしており、多くの示唆が得られるだろう。

評者:好川 哲人
神戸大学大学院工学研究科卒。技術士。同経営学研究科でMBAを取得。技術経営、プロジェクトマネジメントのコンサルティングを手掛ける。ブログ「ビジネス書の杜」主宰。
プランB

プランB
ジョン・マリンズ/ランディ・コミサー著
山形 浩生訳
文藝春秋発行
1995円(税込)