PR

 スマートフォンがこれだけメジャーな存在になったのは、やはり米アップルのiPhoneがあったからだろう。iPhone以前と以降ではスマートフォンのあり方そのものが変わってきた。そしてさらにスマートフォンの普及を後押ししたのがクラウドである。クラウドの専門家であり、通信業界全般に詳しいデロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・テレコミュニケーションズ インダストリーグループ パートナーの八子知礼氏に、スマートフォンのこれまでとこれからを語ってもらった。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


デロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・テレコミュニケーションズ インダストリーグループ パートナー 八子知礼氏
デロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・テレコミュニケーションズ インダストリーグループ パートナー 八子知礼氏

 パソコンからの進化と携帯からの進化のちょうど真ん中にあるのがスマートフォン/タブレット。モバイルの領域はいったん機能面で飽和してしまって、それ以上発展性がないように見えていた。ところが、画面が大きくなり、もっとアプリケーションを充実させたい、という方向が出てきた。

 一方パソコンの流れからすると、どんどんノートパソコンのバッテリーが長持ちするようになり、モビリティーが要求され、ネットにつながればノートパソコンでなくてもいい、というトレンドからネットブックが生まれた。

 携帯の流れからすると大画面のトレンドがあり、パソコンの流れからするとモビリティーを高めたいニーズがある。両者が折衷するところが今のスマートフォン。画面サイズでいえば、3.5インチから7インチくらいだろう。

iPhoneはビジネス寄りではないアプローチで登場

 大きな変化があったのは、iPhoneの出現だと思う。米アップルが「コンピュータではなく電話を作るとどうなるか」という観点から作った。

 スマートフォン自体の定義は、私が解釈するには、基本的には中身はコンピュータだと思っている。“フォン”という名前のコンピュータ。iPhoneによって少し画面を大きくしてパソコンと同じような体験ができるシチュエーションが生まれた。ユーザビリティーの点では、iPod Touchの延長線上で出した点も大きい。音楽を聴く感覚で携帯電話を持ち歩ける。しかも電話の機能を使うというよりは、インターネットやエンタテインメントが前面に出ているのがアップルらしい。

 それまでもスマートフォンと呼べるものはあった。例えばQWERTYキーボードが付いている機種だ。ただ、以前のこうした機種は、二つの異なるもの、パソコンのアイデアと携帯電話のアイデアを融合させたというよりは単純にくっつけただけという印象だ。くっつけると双方の便利なところは一緒になるが不便なところも一緒になる。結局画期的な改善というのはなされていない。今でもマーケットではキーボード付きスマートフォンはBlackBerry以外そんなに多くは出ていない。結局売れない、ということだと思う。

 iPhoneが出てきたことによって何が起こったか。「キーボードはそれほど必要じゃない」ということが分かった。メールを打つ時はソフトウエアキーボードで十分。主に操作するのはアイコンだ。タッチのユーザーインタフェースが採用されたことで、使い方が変わった。ビジネス向きではなくコンシューマー向けのエンタテインメントデバイスとして登場したことが、一挙にマーケットに普及する後押しをしたのではないか。明らかにそれまでのビジネス寄りのアプローチではない。そこが大きかったんじゃないかなと思う。