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 「聞いてナイ!」トラブルとは,ネットワークやサーバーの管理者へあらかじめ伝えておくべきことが伝わっていないために発生するトラブルのことだ。連絡ミスやコミュニケーション不足は,トラブルの解決が遅れる要因。これもまた厄介だ。

 代表的なパターンとしては,「インテグレータやプロバイダなど,外部の事業者とネットワーク管理者の間で伝達漏れがある場合」,「社内の管理者や担当者が複数いて,“横の連携”がきちんと取れていない場合」,「前の管理者からの引き継ぎに不備がある場合」---が挙げられる。事例を参照しながら考えていこう。

どんなときに起こる?
●インテグレータなど,外部との間で連絡漏れがある
●複数の管理者がいるケースで伝達漏れがある
●前の管理者からの引き継ぎに不備がある

別々のインテグレータが構築

 システム・インテグレータ2社が同じ顧客企業に対して,パソコン系と電話系のネットワークを別々に構築したために起こったトラブル事例を見てみよう(図1)。

図1●別のシステム・インテグレータが無線LAN  アクセス・ポイントを設置していた
図1●別のシステム・インテグレータが無線LAN アクセス・ポイントを設置していた
この会社では,IP電話系の管理は総務部が担当しており,パソコン系のネットワークとは別のインテグレータが構築していた。そのため,パソコン系ネットワークで立てた無線LANアクセス・ポイント(AP)にはおかまいなくチャネル設定がなされていた。
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 インテグレータA社のXさんは,顧客企業の無線LANネットワークを構築した。Xさんはある日,その企業からトラブルの連絡を受けた。無線LAN搭載ノート・パソコンからプリンタに印刷できなくなったという。現場に向かったXさんは,トラブルの解決に当たった。

 複数台ある無線LANノート・パソコンを調べてみると,印刷できるものと印刷できないものがある状態だった。印刷できないパソコンは無線LANモジュールが故障したと見当を付け,Xさんは近所の家電量販店に行き,無線LANカードを購入して新たに装着した。しかし,問題は改善されなかった。原因は無線LANモジュールではなかった。

 次に,持ち込んだ無線LAN探知機のインジケータを見てみた。すると,同じMACアドレスで同じ電界強度を示しながら,無線LANアクセス・ポイント(以下,AP)の無線チャネルがころころと変わっているのがわかった。

 そのAPはXさんが以前設置したものだった。故障と考えて新しいAPに置き換えたところ,無事に無線LAN搭載ノート・パソコンから印刷できるようになった。しかし翌日,また同じ現象が起こる。原因はAPの故障でもなかった。

 そのときXさんはふと気付いた。先月まで見たことのなかった機器が壁に取り付けられているのだ。聞くと,無線IP電話システムを導入したので,そのAPだという。無線IP電話は電話系の設備のため,総務部が管理している。総務部は昔から取り引きしている別の電話系インテグレータB社に無線IP電話システムの工事を依頼していたのだ。パソコン系無線LANネットワークを構築したXさんは,そのことを聞かされていなかった。

 4台設置されていた無線IP電話用APは,2.4GHz帯のIEEE802.11b/gで利用可能な組み合わせの無線チャネルを使い切っており,すでにパソコン系無線LAN用のチャネルが確保できない状態になっていた。そのため,パソコン系のAPは周囲のAPの影響を受け,安定的に使えるチャネルを探そうとしてチャネルを自動的に変えていた。無線LAN探知機が表示した無線チャネルがころころ変わる現象はこれが原因だった。

 XさんはB社に依頼して無線IP電話用APの位置を変えるなどしたが,結局電波の状態は改善されなかった。最終的には5GHz帯を使うIEEE802.11aの無線LANをパソコン用に導入して解決した。

 別のインテグレータが同じ企業の設備を担当していて,その影響でトラブルが起こるのは厄介だ。またこの事例のように,「全社にかかわる電話系は総務部,そのほかは事業部ごと」といった発注を企業側でしている場合,インテグレータとしてはネットワークの全容を把握しにくい。