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 企業のスマートフォン活用に向けた方針が大きく変わってきた。一言で表せば「アプリケーションが主役になった」ということになる。iPhoneやAndroid、Windows Phoneといった端末選びの発想から、開発がしやすいかや、作ったアプリケーションを長く使えるかなどアプリケーション中心の発想に移ってきたのだ。「まず使ってみる」というフェーズを経て、「業務に本当に役立てる」という本格導入時代に入ったことを示している。

 アプリケーションを支えるインフラも整ってきた。MDM(モバイルデバイス管理)サービスやウイルス対策ソフトなど、運用管理やセキュリティに関連するソフト、ソリューションも多数登場した。通信費をはじめとしたコストも、利用シーンによって抑える策が見えてきた。先進企業は既に、業務スマートフォンの導入・運用方針を明確に決めている。まずは先進3社の取り組みを紹介しよう。


 多くの企業が、画面の大きさや機能といった端末の特徴だけではなく、「どんなアプリケーションを動かすか」でスマートフォンを選択するようになってきた。その1社がサントリーホールディングスだ。

 サントリーは当初、iPhoneを選んだ。2008年から導入を始め、現在1000台弱を利用している。端末の機能に魅力を感じた営業担当者から「使いたい」という要望が多かったことが選択理由だ。だが現在、「業務で使用する端末は、Android端末に軸足を移している」(サントリービジネスエキスパートの中條有規ビジネスシステム本部グループ情報システム部課長)。

 Android端末の導入を開始したのは2010年4月のこと。それ以降、利用を拡大しており、今年末には導入台数が2700台に達する予定だ。韓国のサムスン電子の「GALAXY S」や「GALAXY Tab」、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「Xperia arc」など様々な機種を利用している。

 サントリーがスマートフォンの切り替えを進めている理由は、同社にとってAndroid端末のほうがiPhoneよりアプリケーションを開発しやすかったことにある。中條課長は「現在Android端末向けのアプリケーション開発に力を注いでいる」と話す(図1)。

図1●サントリーホールディングスが開発したスマートフォン向けアプリケーションとその動作プラットフォーム
図1●サントリーホールディングスが開発したスマートフォン向けアプリケーションとその動作プラットフォーム
アプリケーション開発の自由度、端末の選択肢の多さ、自社にあるJava技術を生かせることなどからAndroid端末を採用している。

アプリ開発の自由度で選択

 Android端末は、iPhone向けアプリケーションを開発する場合に比べて、開発の自由度が高い。中條課長は「iPhoneよりも開発についての制約が少なく、LinuxベースでオープンなOSであるAndroid向けのほうが開発しやすい」と話す。

 サントリーはAndroidの特徴を生かし、様々なアプリケーションを「Android Biz Suite」という名称で自社開発している。メーラーやスケジューラー、Webブラウザーなどだ。また、Androidのセキュリティを強化する目的で、端末データのリモート消去やジェスチャー認証といった機能も自社開発した。今年の5月には、社内サーバーの文書ファイルを外出先から閲覧するためのアプリケーションなども加えた。